夕闇が漂うころ…この白い「ドクダミ」の花を見ますと、たとえ群生はしていても、それは清楚という言葉がピッタリの花かと思います
ドクダミ、またはドクダメなどと、ずい分と気の毒な花です
あらら、ここでも「毒」が入ってしまいました
漢方薬では「五物解毒散(ごもつげどくさん)」の名をもらい、重宝がられております…きっとドクダミも溜飲を下げていることでしょう
さて…「引っ越し騒動記!」のその2です
日頃から宅急便でお世話になっている「クロネコヤマト」に引っ越しを頼みましたら、4トン・ワイドトラックが横付けされ、びっくり
家具と言ったところで、運んでもらうのは10個ばかし…細かな物と言えども、たかが知れています
「あのですね…私、こんな大きなトラック頼んでないですけどぉ~まさか家ごと運ぶんじゃないでしょうね」
「担当がちゃんと見積もりに伺っていますから、間違いありません」
「ははぁ~」
いったい…何を積んで運んで行くんでしょうか
「この山のように積まれた本じゃないんですかっ」
男女合わせて、総勢・6人のチームで荷造りをしてくれたんですが、暫し…茫然と立ちすくんでおりました
まさか、2軒掛け持ち?と首を捻ってしまいました
それでも、自転車と庭の鉢植えなどをそれなりに積み込んで「ヨイショッ」
トラックは重くなった車体を揺らしながら坂を下りて行きました
家人からのメールでは娘が駅まで迎えに来てくれ無事に到着!サッとひと風呂浴びて、今は横になっている」とのことですので、まずは安心
さぁ~てと、こちらも雨戸を閉めて、遅くならないうちに出掛けなければなりません
上の雨戸は、今となっては大変珍しい雨戸かと思います
右の戸袋から引いて来て、直角を利用しまして雨戸をくるりとまわします
そこで左のレールに乗せて、順に詰めていくという回りくどい締め方なんですが、片方だけの戸袋で済みますから場所を取らず、見た目、すっきりとした外見になります
ところが、なんと言ったって古いもんですから、ガタピシを通り越して動くもんじゃありません
雨戸ひとつ締めるのにもコツが、そしてか弱いわたくしではありますが、体力・忍耐とが必要となります
つべこべ言っている場合ではありませんでした
3畳・8畳・6畳間…納戸を含めますと、締める雨戸は20枚になります
8枚の雨戸板が納められる戸袋にはヤモリが棲み、ムカデが潜み、ハチやシジュウカラが巣を作っていました
タイワンリスも密かに侵入を狙っている…町内でも人気の賃貸住宅でして、敷金も礼金も取らぬ我が家は「いい大家さんだ」と、近所では大層な評判でした
ひと部屋ひと部屋に別れを告げていきますと、家人が愛して已まなかった古民家が深い息を吐きだすように、静かな眠りに入っていくかのよう…
それでもきっと、ウグイスの鳴き声が聞こえてくるよ
風に揺らぐ梢のざわめきも聞こえるよ
庇に落ちる雨音も響いてくるよ
そう…夏になれば、アブラセミや蜩の声が部屋いっぱい満たしてくれるよ
目をつぶっていても、季節の移り変わりが手に取るように分かるよ
いいなぁ~いいなぁ~
去りがたい想いが胸に溢れてきて、ホント困ってしまいました
でも、家人と一緒ならどこに住もうが、きっと「住めば都」になることでしょう
私も家人と同様…我が家を1度も振り返らずに坂を下りて行きました
そんな私を見送ってくれたのは、庭に咲く、坂道に咲く白いドクダミの花でありました