三寒四温の例えのとおり
寒いと言っちゃぁ、ストーブを抱え…暑いと言っちゃぁ、素足になったりしながらも、なんだかんだと対応している自分の体に感謝です
冷たい雨に打たれても、花ニラはめげずに立ち上がり太陽に顔を向けて咲いています
こんな気持ちの良い太陽だもの
家人の布団を干して、殺菌しておこうっと
昨日、家人とふたりで聞いた、宣告とも言える「開腹手術」…
病院のベッドでひとり家人は、どんな夜を過ごしたかなぁ
洗濯をしていると、玄関で「おはようございまぁす、いるぅ?」の声がします
手を拭き拭き出て行きますと…お隣「ちゃんとやれ・じぃちゃん」の奥様・ひさえお母さんが、開け放してある玄関先に立っていました
「お父さんがね、このごろ隣、見掛けないから聞いて来いってなんか、入院したって聞いたもんだから」
じぃちゃんの息子・ヒデキさんは、この「きんちゃん闘病記」を読んでくれていますので、これまでのあらましは詳しくご存じで、坂道で会うと心配する言葉を掛けてくれます
「はい」
やさしく問いかけてくれるひさえお母さんの声を聞いて、顔を見たら…胸がいっぱいになっちゃって、涙が出そうになりました
…そう・になったけど、こらえました
「ちゃんとやれ・じぃちゃん」だって、一昨年・去年と2年間に亘って大きな病気をしたけれども、今では乗り越えて、元気に過ごしています
「うちのお父さんだって、ああして生きてんだから大丈夫よあなたの体の方が、心配よ
しっかりと食べて、寝なきゃダメよ」
お母さんありがと
言うことを聞いて、ちゃんと食べて寝ます
ひとりのお昼ですから、簡単に済ませて行こうと思いまして、娘が「見た目よりもずっと美味しい」と置いていった「札幌・スープカレーレトルトパック」を温め、シャビシャビのカレーをひと口食べてみたら…ホント見た目よりずっと美味しいのにビックリ
スパイシーな辛さに、耳の後ろがピクンと痛くなるほどです
さて
お昼も食べたし、病院に行こうと用意をしていますと、家人から電話が掛かってきました
「あ~俺だ朝の回診で先生が来たときにね、どうですか、決心はつきましたか?って聞くもんだからサ、昨日の今朝だろ?こんな大事なこと、ひと晩で決められるか…コノヤロウ!って思ったけどもぉ、つい…サ、決めましたって言っちゃったんだよ
」
「もう返事しちゃったのぉ
どう、決めたのよ
先生、なんて言ってた?」
「うん。じゃ、ひとまず退院していいですよ入院費もバカにならないし…とか言うんだよ
俺って、そんなに貧しそうに見えるんかな
でサ、プロ野球、明日開幕だろ?原辰徳が監督になって、ちょうど10年目なんだよ
こんなとこでぐずぐずしてられないんだよ…俺としては
退院って聞いて、内心シメタ
って思ったんだ
それで、メガホンとエアバット、ユニホームとか、もう用意してある?
あれよあれよって間に決まっちゃったもんだからサ、娘に迎えに来てもらってね、送ってもらうことにしたんだよ
だから、きみは家で待っててよ」
話がどうなっているか、まったく分からん
家のどこかで、携帯が鳴っていますきっと娘からでしょう
固定電話の受話器を叩きつけてから、走って携帯を探しました
「もしもし、お母さん?なんでお父さん、今日退院なわけなんか、しでかしたの
いきなり電話で、ジャイアンツが開幕だとかで迎えに来てくれって
それも、まとまったお金も持って来いって切羽詰まった声で言うのよ…体、大丈夫なの
私、仕事放り出して鎌倉までなんか行けないから…夜、逃げておいでよって言ったの
どうすんのよ
」
「とにかく、お金かカード持って病院に行ってよそれでサ、東京駅でも新橋駅でもいいから、本人だけ横須賀線に乗せて、荷物は預かっておいてよ
何時の、何両目の電車に乗ったか、連絡して…お母さん、鎌倉駅のホームで待ってるから
」
鎌倉駅のホームで無事、家人を保護
娘はグリーン車を奮発してくれたようでして、案外にしっかりとした足取りで降りて来ました
「やっと病院から帰って来たというのに、タコかい」
「タコかいって仰いますけどねタコの足は8本、末広がりでお目出度いでしょ
」
タコの足を噛みながら、今日の顛末を訊ねたところ…家人の決意のほどを聞かせてくれました
「つまりね…厚生労働大臣が承認した先進医療を信じてだな、人生3回目の手術になるけども、あと1回、賭けてみようかと思ってサきみを置いて逝くわけにいかないじゃぁないか
」
いい場面なのに…
「もしもしぃ?ちゃんと着いたのぉ連絡、寄こさないから久里浜まで行っちゃったのかと思うじゃない
タコ食べてるぅ?
病院の支払い、現金で支払ったんだから、ちゃんと返してよっ
」
バタバタと慌ただしかったいち日が、やっと終わりそうです
満開のソメイヨシノの向うに陽が沈んでいきます
連載物語…「きんちゃん闘病記」ご愛読、ありがとうございました
おかげさまで、なんとか第1段階の治療は終わりました
4月に入り、大安の佳き日に開腹手術を行う予定でございます
その時にはまた「きんちゃん闘病記・第2弾」をお送りするつもりでありますが、本人に知れたら、ボツになるやも知れません
家人とふたり満開の桜を観ることができて良かったです
また、明日