讀賣巨人軍…何しろ、3年振りのリーグ優勝なもので、その喜び方をチョィと忘れてしまいました
然も…巨人が優勝を決めた朝だと言うのに、セミも鳴かず鳥も鳴かず雪ノ下・2丁目はシーンと静まり返っています
一夜明けた今朝になって「あれは、夢だったのか」
ふたり、顔を見合わせ、少々不安になってきました
けれども、この耳には
巨人の選手が優勝ペナントを掲げながら、東京ドームを1周するときに流れていた曲…イギリスのロックグループ「クィーン」の「伝説のチャンピオン」がこびり付いています
出っ歯のフレディ・マーキュリーの顔もチラチラしてきて、めまいがしてきそう
「We are the Chamions my friends-僕らはチャンピオン そうさ 友よぉ」
(今日…いち日中、口ずさんでおりました)
「そうだ報知だスポーツ報知を見ればいいんじゃないかっ
」
慌てて石段を駆け下りて、新聞を取りに行った家人
戻って来た玄関で、「おいっ間違いなく優勝してるよ
」手には、新聞が束になって握られています
なんとっ新聞受けの上に…
日刊スポーツ、サンケイスポーツ、スポーツニッポンの3紙が置かれていたそうです
野球好きのカラスに持って行かれなくてよかったぁ~
「ヒデキさんが気を利かして買って来てくれたんだよ」
お隣「ちゃんとやれ・じぃちゃん」ちの息子さん・ヒデキさんも、じぃちゃん譲り、大の巨人ファンです
負けが込んで落ち込む私たちを「まだまだこれからですよ」と、いつもその気にさせてくれる、大変前向きなファンであります
おかげ様で、4大スポーツ紙が揃いましたんっ
「今日は退屈しないなぁいち日掛けてじっくり読もう
」
あーたはそんなに毎日、退屈な日々を送っているんでしょうか
ヒデキさん…年寄りに、多大なる喜びを与えて下すって、どうもありがとうございました
『秋』の文字が、ようやく暦に入ります
二十四節気の16番目「秋分」が巡ってきました
午前中、姑・すゑさんのお墓参りに、鎌倉の端っこにあるお寺さんにお線香をあげに行って参りました
今朝、庭で採れました「秋茗荷」を、好きだったキリンビールと共にお供えに
そして…もうひとつ
長野のお土産「おびんずるさまの御守り」を忘れずに持って行きました
どれもこれも見せるだけですけど
この「おびんずるさまの御守り」を、長野・善光寺さんで見つけたとき、私は懐かしさで胸がいっぱいになりました
久しぶりに
【すゑさん物語】を書いてみようと思います
ひとり暮らしを続けていた「すゑさん」を呼び寄せ、一緒に暮らしはじめますと、すゑさんの意外な面が見えてきて、戸惑ったり…腹が立ったり…感心をしたり笑ったりと、なかなか面白いばぁさまでした
82年も長きに亘って生きて来たすゑさん…衣食住にそれほどの執着はなくなってしまうのか、何を着せようと…縁側で昼寝させようと、文句ひとつこぼすこともありませんでした
ただ…3度の食事とお八つは、時計を見い見い首を長くして待っていたようでした
そんな欲もないお地蔵さんのようなすゑさんでしたが、いつも肌身離さず身に付けていたのが、この長野・善光寺さんの「おびんずるさまの御守り」でした
着古した腰巻のネルで縫ったのでしょう
色が褪せた桃色の袋に入れられたすゑさんの「おびんずるさまの御守り」は、何度も痛いところを摩ったのか…板で出来たお守りは、艶のあるいい飴色になっていました
お釈迦様のお弟子十六羅漢のひとり・賓頭盧尊者(びんずるそんじゃ)は撫佛(なでほとけ)と言われ、このお像を撫でた手で自分の痛いところ、悪いところを摩ると、病気が治ると言い伝えられているそうです
驚いたこと…鎌倉五山・第一位の建長寺・山門の下にも、おびんずるさまが安置されているのを昨日初めて見まして、びっくり
さっそく家人はお賽銭を入れ、おびんずるさまの頭を撫で…その手を自分の頭へ持っていき、丁寧に摩っています
『あぁやっぱり、呆けないようにと願っているんだ』
そう…思いました
「これで、バッチリ毛が生えてくるぞっ」
「ハゲでもいいから、呆けんでくれい!…ってかサ、もともと毛がない尊者さまの頭を撫でてもダメなんじゃないのぉ
」
「」
尊者さま…申し訳ありませんでした
善光寺さんの参道にあります、こちらも「善光寺」
この大勧進に「おびんずるさま」があります
総門をくぐり、本堂の階段脇に安置されています
訪れる人たちの手で撫でられて、お像は全身つるつるになっておりました
その中でもみなさんの痛いところ、治したいと願っている箇所は、意外にも『目』のようでして、撫でられた両の目は…その形さえなくなっていました
すゑさんが60代のころでしょうか…?
当時、すゑさんが住んでいた町内会のサークルに「詩吟の会」という集まりがあり、ご近所の友だちに誘われて見学に行ったそうです
「鞭声粛々 夜河を渡る…」と朗々と唄う友だちの声に、俄然やる気を起こしたすゑさん…その場で即!入会をしたとのことです
60代にしては、決断力があります
「70のばぁさんに、負けてなんかいられないからねっ!」
確かに…すゑさんは頑張って練習をしたと思います
一緒に暮らすようになって、ヒョンなことからすゑさんの詩吟を聞くことになったのですが、スッと背を伸ばし、唄う姿・その声に、私は度肝を抜かれたことがあるんです
「詩吟の仲間とね、習っている「川中島」を訪ねる旅行にも行ったのよ」
「川中島」の舞台となった、千曲川と犀川の河も見て、信州蕎麦を食べて、温泉にも入って…そして、ここ善光寺さんのお詣りも済ませたと話して聞かせてくれました
夜更けに、すゑさんを懐かしく思い出しておりましたら
雨の降る音がしています
ちょっと淋しい…涙雨かもしれません
この続きは、明日にしてほんのり甘いお酒をワングラス
ようやく、フレディ・マーキュリーのタイツ姿がぼんやりと霞んで消えていきました
おやすみなさい