「草木もねむる丑三つ時」…いきなりピカッと雷が轟き、まもなくバケツを引っくり返したような雨が、軒を打ちながらの凄まじい音を立てて降ってきました
「草木も…ついでにジジ・ババも飛び起きた丑三つ時」になったようです
けれども、日中30度を越す太陽に焼かれた草木は、待ってましたとばかりに雨を受けにクイッと背伸びをしたのではないでしょうか
一夜開けましたら、この快晴
何を目指し、どこまで伸びていくのでしょう
オーシャンブルーのヤル気に…こちらも元気が出て参りました
「あなたなんでこんなとこで、ジャズダンスやってるのよ長野で温泉に浸かってるんじゃなかったの」
スポーツクラブの「ジャズプログラム」に参加していたら、こわいおばさんたちに囲まれてしまいました
毎日ブログを見てくれている口喧しい友だちの面々です
「だからねあれは旅行記なんだからね」
「そうなの毎日、行ったり来たり大変だなぁって思ってたのよ」
「今日は小布施でしょ楽しみにしてるわよ」
有り難いことですぅ
長野電鉄・湯田中から「特急スノ―モンキー」で20分で栗の町・小布施に到着です
駅に着いたとたん
土砂降り
降り立った乗客は、花の木曜なのにチラホラ
小布施に来る観光客は、ほとんどが日帰り・観光バスでやって来るそうで、ここ小布施の駅舎は閑散としていました
小布施の中心街までは歩いて10分とは言え、初めて来た町で、この雨の中を歩くのも心細く…バスはあと1時間、待たねばならず…と、空を見上げていましたら、客待ちをしていたタクシーの運転手さんと目がバッチリと合ってしまいました
気が付けば家人が座席にチョコンと座っているじゃぁありませんか
ワンメーター¥7705分掛かりませんでした
やっぱりタクシーに乗って来てよかったです
運転手さんは、小布施の目玉商品「北斎館」と「小布施堂」の真ん前に車を着けてくれました
雨は降り止まぬようなので、町のそぞろ歩きは諦めまして、まずは北斎館を観ることにしました
この「北斎館」と書かれた案内は焼き物で出来ていて、歩道に埋め込まれているんですが、あの北斎の文字を足で踏んづけてしまうのに、ちょっと抵抗があります
「跨いで行きゃぁいいんでないの」
案外、簡単に解決
周りを囲むように埋め込まれているのは、小布施ですねぇ~栗の木なんだそうです
今年、開館35周年を迎えた「北斎館」…8月5日14時に800万人・達成を果たしたそうで、祝いの看板が立て掛けてありました
いち日違いでせっかくの800万人目を逃してしまい、ひと足遅かったとは、このことだと実感いたしました
北斎の鮮やかな肉筆画を間近に観ることができ、とても83歳を過ぎての作品とは思えぬものばかり
「歳じゃないねぇ…パッションだよパッション」
だ・そうであります
パッションに負けてしまったのか…雨もパラパラ、空も明るくなってきたようです
小布施堂・本店ののれんは重みが違うようで、雨にも風にもビクとも揺れません
しっかしなぁ~
「小布施」から『小』を取ると「布施明」
私が密かに願っていることは、生きているうちに「布施明さんのコンサート」にいち度は行ってみたいということです
こちらもあちらも、もういい歳になってますもので、お互い・生身ですからね、いつ何が起きるか分かりません
いち日も早く、コンサートに行かねばと、栗の町・小布施で決意を新たにしました
新潟・津南の釣り仲間「どうも・どもトミさん」が小布施に行ったら、このお店と薦めてくれたのが、こちら
小布施の蔵元・桝一村酒造場(ますいちむらしゅぞうじょう)さんが経営している、和食処・かまど炊きご飯屋『寄り付き料理・蔵部」
ちょっと入りにくい店構えですが、店内に入ってびっくり
中央にかまどが設えてありまして、炭がカンカンに熾り、お釜からは白い湯気がもうもうと立っています
香ばしい匂いが立ち込める店内には、町よりも多い人たちがご飯を食べています
「美味そうぉ~」
お品書きから、私は「信州牛の重ね焼き」のご飯・あら汁セットを頼みました
このセットにはモズク酢と、この桝一村酒造場の銘酒「白金」がお猪口に一杯・付いています
港区シロガネーゼを思わせる名前ですが「はっきん」と呼びます
他には「本日の焼き魚」…鮭の西京焼きが炭でこんがりと焼き上がっていく様子が、カウンター席から丸見え、食欲をそそります
そそられるのが、食欲でよかったぁと言う思いで胸がいっぱいです
家人はお品書きと睨めっこ
これから旬を迎える…家人がじゃありません
カワハギが、です
そのカワハギの刺身と、財務大臣の許可なく、白金を冷酒で頼んでいます
「海なし県の長野に、なんでこんなに新鮮で美味しいカワハギの刺身があるんだっ」
かまどでは次々に魚が焼き上がっていきます
目の前では、ねじり鉢巻きをしたお兄さんたちがキビキビと、汗を流して働いているのが見えまして、まことに気持ちのよい眺めであります
いつの間にか、小布施の丸なすの鉄火味噌と亀甲焼きを勝手に注文していたようです
特産の丸なす…トロッとして甘みの強いなすを味噌ではなく、生姜醤油で頂きました
これが噂の「信州牛の重ね焼き」です
牛に信州のリンゴを食べさせているのだとか
ホースラディッシュに山葵を合わせてあります薬味は、岩塩で頂く肉によく合います
脂はさっぱりとしているのですが、薄切りの重ねてある良さが出ていまして、噛んでいくと肉の旨みが堪えられません
これはビールのお代わりを頼まねば、牛に申し訳が立ちません
野菜にかかっているマヨネーズに、もうひと工夫あってもいいのかなぁと思ったんですが、変にタレのあるドレッシングですと、せっかくの牛肉に余計な味が沁み込んでしまい、岩塩で頂く良さが損なわれてしまう…と、気が付きましたら、このひと匙のタルタルソースのような塊は、価値がある固さかなと、改めて感心…
今回は食べられなかった「本日の焼き魚」の鮭です
ここからお箸でチョイと摘まみたいほどの焼き上がり
店内で、家人の昔の同僚だった知人に声を掛けられ、奇妙なご縁に家人はのけ反っておりました
「悪いことは出来ないよなぁ~」って、何か悪いことでもしたんですかね
お店を出てからも、ふたりして
「お店の人サ、ぜったい計算間違ったんだわよ早く逃げよう」
…てんで、雨が上がった道を小走りに小布施の駅へ…
ホームから見る北信五岳のひとつ、雲を被った「黒姫山」です
五岳とは、標高の高い順に妙高山・黒姫山・飯縄山・戸隠連山、そして斑尾山と全部の山が見渡せます
なぜ…黒姫山だけを撮ったのかと言いますと、わたくし、大相撲の「関脇・黒姫山」の大ファンだったからです
デコイチの名を付けられるほど、当たりに定評がありました力士でした
私はどうも広すぎるオデコに弱いようです
ここ、標高・353Mの小布施駅から愛を込めて
ホームに、元・成田エキスプレスだった車両が入って来ました
左に見えますのは、今年8月まで現役で走っていた2008系の長野電鉄の車両です
運転手さんの「そこのおばさんっ危ないよぉ~線路に落ちるなっ」と喚いている声が、北信五岳に木霊して聞こえてきました
この「スノーモンキー」には、個室指定席がひとつだけありまして、乗車券・特急券の他に、1000円を支払えば個室の鍵を開けてくれます
小布施の町から逃げるようにして乗り込みましたので、ここは大奮発して個室へ
窓が大きく、4人掛けのソファも広々としています
その名もピッタリ
「Spa猿~ん・スパサル~ン」
長野までの約30分、痛む足をゆったりと癒すことができました
帰りは長野新幹線で、一路東京へ・・・
やっと鎌倉へ着いた時は、さすがに疲れ果ててしまいました
読んで下すったみなさまも、さぞやお疲れのことと思います
今夜はどうぞ、ごゆっくりお休みください
明日からは、通常通りの営業となります…が、長野で買ってきた特産品の写真をほんの少しご紹介が出来ればいいなと思っています
栄村の震災から1年と6ヶ月に…改めて合掌