日本水仙がひと房ふた房と花を咲かせはじめました
鎌倉のお寺さんでは、妙法寺さんの水仙が見頃を迎えると、それはそれは、。楚々として苔に映え、見事な咲きっぷりでございます
水仙の甘い香りにふっと思い出すのは、父と歩いた小路です。
伊豆・下田の爪木崎海岸に群生する水仙を見たのは、もう20年も前になるでしょうか。
白い灯台を目指すでもなく、ぶらぶらと海から吹く風に首をすくめながら、父とふたり…
まだ、私がお嫁にいかぬ娘のころ、父と肩を並べ、こうして歩くことなどしませんでした。
母が亡くなり、再婚した父と疎遠になって、少しずつその距離が行ったり来たりしている間に、母の十三回忌を迎える年が来てしまい、下田に住んでいる父をそっと呼び出したことがありました。
ひと回り小さくなった父を相手に、私はずい分と対等な口を利きまして、父より一歩前を歩くことさえ、平気でしてのけていました。
「お母さんの十三回忌、こっちでやっていいよね。叔父さんや伯母さんが・・・どうするんだって、結構うるさいんだよね」
「早いもんだな。明がやってくれるのか?」
「うん。お兄ちゃんじゃ、ちょっと頼りないけどね。なんか越っちゃんが代わりに張り切ってる」
「みんな元気でやってるか」
「うん」
「おみえも元気そうじゃないか。まぁ、よろしく頼むって、明に伝えてくれ」
お父さんは元気なの?お父さんは幸せなの?お父さんは悔いてないの?
電話で済む用件だったけどね。伊豆急に乗って来ちゃったんだよ。
お父さんが住む下田って、海が広がって明るいね。
知らず知らずに私は、水仙を数本、勝手に手折っていました。
その水仙と同じ日本水仙が、ここ雪ノ下にも群生となって咲いてくれます。
寒い冬に咲く水仙を見ると、クッと胸に刺さるものがあったのですが、父を亡くしてしばらくすると、ひどく懐かしい花になっていきました
二十四節気・小雪「次候・朔風払葉(さくふうはをはらう)」
北風が木の葉を払い除ける…北風貫太郎が山から下りて来る季節になりました
八幡さまにある平家池は、浮島に茂るハゼの木を映しています
ハゼの葉は漆の親戚でありますから、枝を折ったときの樹液で赤くかぶれてしまう人がいます
今年は台風の塩害でモミジの紅葉がダメでしたから、せめてハゼの葉には、せいぜい頑張ってもらいたいと思っています
どんよりとした平家池におわすのは、冬の味覚・スッポンに亀
なぜ「注意」なのかと言いますと、上の「危険」の文字が効いております
不注意に水辺の水面を手でなぞってでもしますと、スッポンがカプッと食らいついてくるからです
雷が鳴っても放すもんじゃありませんからね、もう指1本、諦めるしかないです
亀も危険って言うのはですね、身近にスッポンを見ておりますから、「ははぁ~人間があんなに痛がって騒いでおるかめぇ~、いっちょワシも噛み付いてやるわ」と真似をしているんです
ここに生息している亀は、ほとんどがペットとして飼っていたのを、無責任な人たちが捨てて行った亀です
「私はカミツキガメですから、スッポンの真似をしている訳ではありません」と、抗議の声がしましたので、お知らせしときます
先日、実にくだらんことで娘と取っ組み合いのケンカをしまして、わたくしこと母が勝ってしまいました
スポーツクラブで伊達に鍛えておるわけでありませんで、腕力・口力でも圧倒的な差で勝ちを取りました
負けを認めない娘は「お母さんって、2枚舌、3枚舌があるんじゃないの?」と、ずい分と心外なことを言われたんですが、妙に納得をしてしまったので、その2枚目のタンを塩焼きにし、自ら反省することと致しました
「なんか愚痴っぽい味がするなぁ、このタン…」
「そうぉ?弁舌も爽やかな味がするじゃん」
「まったく、あゝ言えばこう言う・もう1枚、じっくり焼いてくれい」
「そこ舌先三寸のところがまた美味しいのよ」
「きみね、閻魔さまには、充分気を付けるんだよ」
「とっくの昔に、1枚抜かれておるわっ」
「トカゲのシッポみたいだな、きみの舌は…」
噛みごたえのある、美味しいべろでした