朝のお茶を頂いてすぐに、落ち葉を掃きに石段の下まで、箒を肩に担いで下りて行きました
今年は台風の塩害で、落ちてくる葉っぱの順番が狂ってしまったようでして、欅と榎が、ハゼと椎の葉が一緒にチリトリに納まっています
頭の上は、裏山から雑木の枝が張りだしておりまして、何やら・・・ガサコソと枯れ葉が動く音がします
「もう、タイワンリスが走り回っているのかぁ~」
鳴き声はしないけど、コジュケイが一族を引き連れて扇ヶ谷まで山を越えて行くのかいな
毎度聞く音ですから、大して気にもせず掃き掃除を進めていたんです
バサバサッボトン
と、目の前・足元に落ちてきたのがコレ
生きているシマヘビです
毎年、得体の知れない物が落ちてくる裏山ではありますが、生きているヘビが落ちて来たのは初めてのことです
一瞬…ヘビも何がどうなったのか、分からなかったようです
軽い脳しんとうを起こしていたのかも知れません
ヘビの顔の辺り星が散らばっていました
気が付いて…
私のこのカモシカのような脚を、木と間違えて上ってきたらどないしよう
少しづつ、半歩づつ後ずさりしながらヘビから離れたのはいいんですが…「イテッ何、ぶつかってくるんだよ
」
やはり後ろで、金バサミでもって紙くずを…それはクズ屋ですが、落ち葉を拾っている家人にゴチーン
「あ・あぁ~ヘビが頭の上に落ちてきて、首に巻き付いてきたのを、この手ではがしたんだよぉ~」
人の話ってのは、このようにして真実からずれていくんですね
せっかくですから、写真に残そうと思い、家人にデジカメを持って来てもらう間、遠巻きにしてヘビを見張っていました
ふっと横に目を逸らしたら…石垣の隙間から芽を伸ばした、ホトトギスの花が咲いています
見れば見るほど、不思議な紋様を持った花びらです
鳥の時鳥(ホトトギス)の斑紋に似ているということで付けられたようですが、なるほど時鳥のふっくらとした胸にも、同じ斑紋を見ることができます
「ホトトギス」と言えば俳人・正岡子規を思い浮かべます。
子規は時鳥に自分の身に置き換えて多くの句を詠んでいます
時鳥は「啼いて血を吐くホトトギス」とまで言われるように、声を枯らし山から山へと飛びながら啼き続けます
肺病を指す代名詞ともなりました。
子規が、苦しい喀血の中で詠んだ句に、卯の花が詠み込まれた哀しい句が残っています。子規自身、卯年産まれであってのことでしょう
『卯の花をめがけてきたか時鳥』
(うのはなをめがけてきたかほととぎす)
正岡子規
ホトトギスに見惚れていたら…モソモソとヘビが首をもたげ、回りの様子を窺っている様子
「カメラ探したじゃないかっ
置く場所を決めて、ちゃんと戻しておく習慣を付けなさいよっ
」
いつの間に?
お隣「ちゃんとやれ・じぃちゃん」の決め台詞を頂いちゃったノダ
ヘビのことをすっかり忘れてしまった家人は、首をもたげているシマヘビを見て、カメラを落としそうなほどびっくりしていました
「俺、長くて足がないの、弱いんだよなぁ~」
さっさと退散してしまいました
私は、このシマヘビに幾つか聞きたいことがあったもので、声を掛けました
「ちょっと済みません。山から落ちたばかりのところに聞くのも何んなんですが、ひとつふたつ聞いていいでしょうか?」
「…はい、何んでしょうか?」
「先日、この石垣に残っていた皮なんですが、あれはあーたが脱皮したものですかね」
「はぁあんまり物覚えがいいほうじゃないんでして…」
「そうですかぁ~実はこのところですね、うちの大事なヒキガエルの姿を見掛けないんですよもしかして?」
「あっ!あれ、頂きました」
「へっ頂いちゃったの
まさか
アカガエルの鳴き声も聞こえなくなっちゃたんですが、もしかして」
「あっ!あれも、頂きました」
「ひっ何んでも頂いちゃうんですねっ
」
「これでも、けっこうグルメでして…あなたは食べません」
「喜んでいいのか
悲しんでいいのか
」
そう言えば…私の身内に巳年はおりませんで、ホッ
信州のりんご「秋映(あきばえ)」が、JAの懸賞で当たりました
その名の通り、晩秋を思わせる深い赤でして、サッパリとした甘み・シャキシャキ感が際だった美味しいリンゴです
ダンボールを広げて数を数えておりましたら「おはらひさん」を棲家にし始めたオオカマキリが、ひらりと飛んで…と、言うか落ちて来ました
今日は、よく生き物が落ちてくる日であります
今夜は「カエルを偲ぶ会」を、しめやかに行いたいと思います
久しぶりの熱燗でございます