桐野夏生・著『東京島』が映画となって、昨日全国で公開されました
1945年のフィリッピン沖の「アナタハン島事件」を思いこさせる・と言うより、これをモチーフにして原作が書かれたものと思います
女ひとりに男が31人・次々、無人島に漂着する男たちとの・なんですなぁ~つまり…逆ハーレム状態で如何にして、女は生き延びて行くか・てな、サバイバル本です
物語は徐々に凄まじい様相を呈してきまして、途中で「桐野夏生の世界」にギブアップ
2冊目は、536ページに及ぶ長編作・『グロテスク』
1997年・渋谷区丸山町で、これ又実際に起こった事件「東電OL殺人事件」を思い起こさせます
8年ほど前になりますか、このOLの遺体が発見されたというアパートが、まだ取り壊されてないことを知り、京王井の頭線「神泉駅」すぐ脇に建つアパートを見に行ったことがあります
質素なアパートは口を閉ざしたままで、重苦しいばかりの淋しさがありました。
どちらにしましても「事実は小説より奇なり」でして、あとから小説家が追いかけていっている様子です
3冊目の『IN』は、その小説家の荒涼たる魂「淫・隠・因・陰・姻・IN」の遍路を書いた本です「アッ・イーン」
桐野夏生さんに付いていくのはホント大変です
「もし、無人島に持っていくとしたら何を持って行くゥ」
娘にメールを島…しましたら、
「う~ん、水かなぁ~あっ日焼けクリームにするわ」
だって!おバカですねぇ。
北に位置する、陽も射さない無人島かもしれないじゃないですか
無人島って言うと、みんな南の島って言う思い込みがあるんですね
娘の彼氏は迷わず「サバイバル・ナイフ」
食べることが3度のメシより好きと言う、如何にも彼らしい答え
娘の友だちは…
「友だち」って・連れて行かれる友だちは娘か
それに思い当たって変更したさなえちゃんは、「ナイフ」
野性本能むき出し
「訳分かんない質問しないでよ!じゃぁ~お母さんは何んなのよ?」
「そんな・仮定のもし?なんて話に答えられません」
「プッツン」
同じ質問に、歌舞伎の女形・坂東玉三郎さんは、26年前のインタビューでこう答えています
「アラベスクと言う曲のレコードを持って行きます」
昨日の鎌倉音楽祭でバイオリニストの川井郁子さんが、曲の紹介も屁ったくれもなく、いきなり引き出した曲を耳にして…
「これだこの曲を持って玉三郎は無人島に行くノダ」
突如思い出したのであります
ドビュッシー「アラベスク」ではなく、確か・ポピュラー・クラシックの「アラベスク」だったと思いますが、記憶は定かではありませんでした
きちんとした曲名は、今もって不明なんです
「タララ~ァタ、ラララァ~タラリリィタララァ~」の哀愁の滲む旋律で、玉三郎ともなると、さすが違うなぁと感心したもんですわ
プレイヤーとスピーカー…どうすんのかな?
こちらは、何も持たずに毎日がサバイバルの「コカマキリ」です
狭い庭ではありますが、カマキリにしてみればジャングルのような未知の世界が広がっています
ただ今・ひとりで頑張っております
夕方、庭の水遣りでホースの水をまともに浴びてしまい、抗議の眼を私に向けているところです
電気の点いていない家の中に入ると、壁が障子が桃色に染まっていました
外に出てみたら、空も山も窓ガラスにも、薄い桃色のベールが掛かっているようです
見る見るうちに桃色は夕闇に呑み込まれてしまいました
そうだ今夜の我が家は、無人島にひとり残されたような…私ひとりだった
仕方がないので、早々とキュウリのぬか漬けで一杯やりました
「うまかぁ~」