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三重県桑名市の多度大社の伝統行事「上げ馬神事」について、大社と氏子でつくる御厨(みくりや)総代会は22日、斜面の頂上の土壁(約2メートル)を撤去した上で5月4、5日に開催すると発表した。馬の安全のための改善措置として、専門家の提言を受け入れた。


 改善措置の検討に関わった県馬術連盟の河北浩峰理事長は記者会見で、土壁について「馬術のトレーニングを積んだ馬でも難しい高さだった」と指摘し、撤去の必要性を説明した。

 上げ馬神事は、土壁を馬が乗り越えた回数で農作物の豊凶を占う。祭りの核とも言える部分を変更して開催することに、木村寛権祢宜(ごんねぎ)は「地区の安全や五穀豊穣(ほうじょう)を願う神事の意義は変わらない。人にも馬にも安全な祭りとして継承していきたい」と述べた。


 改善措置は他に、神事に参加する馬に斜面を事前に走らせて慣れさせることや、竹むちを廃止し、乗馬などで使われる柔らかい素材のものに変更することなどが盛り込まれた。


平野直裕権宮司(ごんぐうじ)によると、改善措置について地元の人たちにも既に説明した。今年は3地区から9頭が参加する予定。一方、2地区は「動物福祉への配慮が足りなかったことを強く認識し、議論を深めるため」として、今年は参加しない。

 昨年5月の神事では、馬1頭が斜面で転倒して骨折し、殺処分された。神事の様子がSNSで拡散され「動物虐待ではないか」との意見や批判が相次いだ。御厨総代会は昨年8月、斜面を緩めるなどの改善案を県に提出。獣医や馬術競技の専門家ら有識者9人を交えた会合を同10月以降、計3回開き、改善案の有効性や動物愛護にかなうかどうかを検討した。【寺原多恵子】

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