小学一年生の頃

学校で集団感染があり

1ヶ月ほど

入院したことがある


一年生全員で

何人位いたか

よく覚えていないが

かなりの人数が

感染していた


でも私のクラスは

私一人だけだった

話しかけてくれるのは

看護婦さんだけ


私には友だちがいなかった


何もすることがなく

同じ部屋の子たちが

友だち同士で

楽しそうに遊んでいるのを

横目で見ているだけ


寂しくてたまらない


だけど

「遊ぼ!」っていう勇気はなく

ただただ

布団にうずくまっていた



でも母が来てくれた日だけは

そんな思いが吹っ飛んだ

仕事で忙しい母は

週数回しか来れず

しかも夜7時~8時の

面会時間ギリギリ


顔を見て

一言二言話したら

もう帰らなければならない

でもその短い時間が

私にとっては

何より嬉しかった


家が貧しかったので

欲しいものも

買ってもらえなかった


クリスマスの日

母と一緒に買い物に出かけて

サンタさんの赤い長靴を見つけて

「あれ買って!」 

といったけど

「ダメ!」 の一言


お年玉だって

他のみんなは

「〇円もらった」

「こんなに集まった」 と

自慢しながら話していたけど

私はほんのわずか

恥ずかしくて

何もいえなかった


だけどこの時ばかりは

母は私のために

欲しかったおもちゃを

買ってきてくれた


いつもは疲れて

暗い顔をしているのに

その時ばかりは

極上の笑顔で話してくれた


私一人を心配してくれる母が

そこにいた

それがほんとに嬉しくて

「この時間が

いつまでも続けばいいのに・・・」 

いつも思っていた



つづく・・・