昨年終盤から各商社で輸入したコーヒー生豆が予想外の売れ行き不振で大量に倉庫に積み上がっているというお話を致しましたがよほど売れないようでどの商社も苦労しているようです。売れないと利益度外視で損をしてでも売り切りたいですから所謂損切り特価販売のお誘いが引きも切らずあちこちから舞い込みます。消費者サイドからすれば有り難いお話みたいに聞こえますが、ただ円安や人夫の賃金、運送料などが高騰して高くなっているだけなので、損切り特価で思いっきり値引きしていただいても結局1年前の価格より少々高いくらいで落ち着いてしまいます。何もしなければコーヒー生豆の価格は軒並み20%くらいは下駄を履いている状態で値引きしても売れないという苦しい状況になっております。だいたい輸入する商社が買わないと売れないけれど買っても売れ残るので本当は買いたくないとあからさまに言うくらいですから異常事態であることに変わりは無いと思います。ある意味でこの業界は今まさに分岐点に立たされているようです。昨日も当店定番のエチオピア・モカが特価で出てまいりましたが、詳細を見ると半年前に買ったものと同じクロップで、しかも前回30kg袋だったものが今回は60kgでお値段もほぼ同じでした。「もうこれ以上は安くできないけどまとめて買ってよ!」ということのようです。コーヒーと言いますのはスペシャルティに関して言えば殆どが年間包括契約なので次のクロップまでは同じ価格で入って来ます。なので値上げを実感するのはこの秋口からのニュークロップがその対象ということになります。「コーヒー、高くなったねえ...」とお客様がよく仰いますが本当はそうではなくて、寧ろこれから本格的な値上がりが始まると言っていいと思われます。毎年夏過ぎに入荷するパナマ・エスメラルダのゲイシャなどは現在でも手の届く限界まで高くなっておりますが、この程度では済まないはずなのでもう買えないかなと不安を抱いてしまいます。未だにコーヒーは1袋200gで1,000円までと頑なに決め込んでみえるお客様もいらっしゃいますが、その価格ではもうやがてスーパーでも買えなくなるはずです。出入りのコーヒー商社さんたちの中でもやたらコスパや費用対効果に拘る某商社さんなんかどうされるのでしょうかねえ。これじゃインスタント・コーヒーも飲めなくなりますけど...。