ちょっと黒っぽい茶色の液体が「コーヒー」として世界中の人たちにとって切っても切れない飲料として市民権を得ております。買い手の付かないコモディティ豆もあれば1箱20kgで1,500万円という豆もございます。同じようにコーヒー豆を栽培して二束三文でしか売れないものと20kgで1,500万円もいただけるものとがあるワケです。このトップに位置する豆と言うのはまさに一攫千金の夢を具現したものとして羨望の的になっております。今の時代にそこまではっきりした「金づる」が存在するということはみんな放ってはおきませんから、かつてのゴールドラッシュさながらに我先にと高評価豆の産地に押し寄せることになります。2004年のパナマ・エスメラルダ ゲイシャのデビュー以来、その農園のあるボケテという地区の土地はあちこちからの買い取りに遭い、最初に品評会第1位を毎年続けていたエスメラルダからその座を奪ったのもカルレイダという農園で、この農園は(今はありませんが)隣国コロンビアの農園がエスメラルダと地続きの土地を買い取ってゲイシャを育てた結果優勝を勝ち取ったということで話題になりました。一方でこのゲイシャ種の起源がエチオピアのゲシャという村で発見された野生種だったことから、パナマではなくエチオピアのこの地区に目を付けた事業家もありました。ゲシャを含む広大な森林を全て買い取ってそこにゲシャビレッジという農園を開いてエチオピアではちょっと図抜けたゲイシャをリリースするようになっております。下手な事業に手を出すよりコーヒー豆がこれだけ高く売れるならその方が確実だからと言うことなのでしょうか。数年前に当店でもこのゲシャビレッジのゲイシャについてはグリーンラベル、ゴールドラベル、イルバボールフォレストという商品を立て続けに買いましたが、確かにクオリティ的にはパナマ以外の「なあんちゃってゲイシャ」には無い独自の美味しさがありました。ただ厳密には品種がパナマ系のゲイシャではなくゲシャ1931とか言うルーツの異なるものであるため派手なフレーバーではなく上品で落ち着いた雰囲気のゲイシャだと言う印象でした。それから数年、ずっと同様のゲイシャで勝負してきたもののどうしても「パナマ超え」は見通せず、そこで一計を案じたのか名うての生産者と提携をすることになりました。それがコロンビアのサンチュアリオ農園主でもあるカミーロさんです。このカミーロさん、最近は世界中の農園と提携してその手腕を発揮していて、例えば世界で最初にカーボニック・マセレーションを取り入れたとされるインマクラーダ農園の技術アドバイザーをしていたり、世界バリスタ選手権上位独占豆のプロデューサーとしてちゃっかり名前が出されていたりして業界では超の付く有名人であります。彼が生産指導をして「サンチュアリオ・プロジェクト」としてゲシャビレッジのゲイシャがリリースされるとなるとこれは地殻変動に繋がりかねないほど大きなインパクトがあります。幸いなことに彼が無名に近い一農園主だった頃から懇意にしてきた日本の某商社が優先的に今年のニュークロップを輸入できることになり先日その商社からオファーをいただきました。全部で8ロットあり、Dimma,Gaylee,Omaなど生産区画ごとにGesha1931,IllbaborForestなどの品種がラインアップされていてこの中から今年収穫されるニュークロップを空輸で送っていただく予定となっております。ウチの場合は以前に一通り買っていますのでどれがどれかという内容は把握できておりますが、そうでなければこれだけのオファーリストをいただいてもどれを選択したらいいのかさえ五里霧中だと思います。取りあえず以前に買った最高ランクのゲシャビレッジ・ゴールドラベル・ゲイシャと同じOmaという区画のものを予約させていただきました。もう1つゲイシャではありませんがコーヒーの実の糖度が高いもので25、通常は23ほどあるというIllbaborForestも以前好印象でしたのでオファーを出すかどうしようかと迷っております。カミーロさんの手腕でゲイシャ発祥の地でもあるエチオピアがパナマから覇権を取り戻すのかどうか...、それくらい楽しみですね、個人的には。

