今年の地元天然リンクでのスケート学習が無事終わりました。

 

多くのみなさんがボランティアで靴紐縛りを手伝ってくださいます。

 

靴ひも?そんなの、自分でやりなさいよ。

 

と思われる方、とっても多いと思います。

 

私も、小さい頃からスケートは自分で履けるようになりなさい。

と教えられてきました。

 

スケートに触れる機会が年に数回しかない子供たちにとって

あの革靴の紐を、緩まずに締めていき、かつ解けないように縛るというのは

とっても難しい。

 

私は「スケート学習」の目的を「スケートに親しむ」ことに重きを置いてきました。

だから、一見すると甘やかしに見える靴紐縛りのボランティアは

とても重要な作業として、大人の人たちに力を借りています。

 

授業の講師を始めたばかりのころは、理解をしていただけないことが多く

先生方のなかにも、靴を正確に履くというよりも、靴紐を自分で縛れるということを

重要視する方もおられました。

何度も何度も締めなおして、挙げ句うまく滑れないと、時間の浪費だけでなく、楽しささえも奪ってしまいます。

 

4年生くらいまでは、どうしても大人の指の力のほうが強いので

しっかりと紐を締めて、グラグラしないような配慮が必要です。

その安定感を知ると、5,6年生になって、仮に自分で縛れるようになっても

「緩んでしまったからちゃんと締めてほしい」と言ってくるようになります。

 

その過程を経ずに、グラグラの靴のままスケート学習をして

ぜんぜん上手に滑れなくて、足が痛くなってつまらなくなると

もう縛るのも適当だし、それ以上、上手にやってみようという気持ちも起きません。

 

なんでこんなにアツくなったか?

 

あるとき、ある方たちが

「こんなにも大勢大人を呼んで、子供たちの靴紐まで締めてやって

あんなに甘やかして、靴ぐらい自分で縛れるように練習させてから来いって言うんだよなあ、あんなことまでさせてスケートやる意味なんてねえよなあ」

と話す声を聞いてしまったからです。

 

とっても悲しかったです。

紐を縛ってもらうのには、理由があります。

とっても深い理由です。

 

朝日村のリンクにあるスケートは、3~40年前からずっと使ってもらっている

もしかしたらそれよりも古いかもしれないスケート靴を今でも大事に使っています。

だから、革がヨレヨレになったり、はと目の部分が弱くなっていたりして

相当フィットした靴を選んで上手に履かないと、ブレードの上に安定して立つことができません。

 

安定しないスケートを履かされて、何度も氷の上に転んで

足が痛くても我慢してやれ、みんなみたいに立って見ろ、滑ってみろ

って言われる授業にどんな生産性があるのでしょうか。

 

楽しかったね!もう一回やりたい!

という気持ちが引き出せたら、

もっと上手になるために頑張るし、自分で練習しようとする。

前は結んでもらったけど、もう誰の力も借りなくても履けるようになったよ!

と自慢してくる子もいるのです。

それが自主性。なのでは…

 

楽しかったね!またやりたいね!と思う子を一人でも多くしたい。

 

それが、この貴重な天然リンクで体験できるとても大事な経験と

素敵な思い出になってくれるはずです。

 

そして、いろんな試行錯誤、創意工夫も楽しい授業からはたくさん生まれます。

 

ただのスケート学習ですが、

遊びや技術習得の中で、これってこうだよね。

が生まれる瞬間に出くわすことがあります。

その時の子供たちの顔は得意満面です。

 

そんな機会が、スケート学習で生まれたら、こんな幸せなことはありません。

 

今年の最期の授業は5年生でした。

終わりの会のあいさつの時

「指導してくださった先生がた

靴紐を縛りに来てくれたすべての人たち、

リンクの整備をしてくれたすべての人たち、

このスケート学習に関わってくれたすべての人たち、

スケートリンクの全部、

朝日村の人たちにお礼を言います、ありがとうございました!!」

と、あいさつをしてくれた彼女は、

先生と打ち合わせていた言葉でなく

本心から出た言葉だったと思います。

 

なんて素敵な子。

素直で優しい子。

いい子に育ってくれてありがとう。

 

長くなりましたが、

今年も、仕事の都合をつけて、合間を縫って駆け付けてくださった保護者のみなさま

靴紐縛りボランティアに登録してくださった村民のみなさま

本当にありがとうございます。

 

また来年もよろしくお願いいたします。