13"



 マスターに連絡を貰いお店に駆けつけると、そこには今まで見たことのない美月がいた。

 美月は普段から良く笑う。酔えばさらに陽気になって、うるさいぐらいだ。お酒に飲まれることもない。
 それが……ひとりカウンターで酔い潰れている。

(こんなになるなんて、なにがあった?)

(どうして、ひとりなんだ?)

(今晩、店に来れば良かった)

(なんで、俺を呼ばない⁉︎)

  隣に腰掛け美月の顔をよく見れば、頬に涙の跡がある。

 俺はそっと指で拭ってやった。

(もしかして……俺のせいなのか?)

(俺の気持ちは美月には迷惑なのか?)

 美月の顔を見ながら、いろいろな感情が湧き上がり、俺自身も訳が分からなくなる。
 とにかく美月を送らないと。

「美月、起きて」

 そう掛けた声は、自分でも驚くほど硬い声だった。でも、美月にも自分にも怒っていて、優しく出来ない。

 無理矢理起こし、タクシーで送った。

 美月はマンションに着いても、ぼーっとしていて部屋まで送る。ベットに座らせ、水を飲まそうと持ってくると、俺を見ていた。

  酔いの残る目で、俺を見つめる。そんな無防備な姿を晒されたら、また俺は抱きたくなってしまう。
  美月にキスをしようとすると、美月は目を瞑った。全てを受け入れるように。

 そんな美月の姿をみて、俺は悲しくなり美月を残し部屋を出た。
 
 玄関を締め、俺はただ、その場に立ち尽くしていた。