私は、グンソクのマンションまでタクシーを飛ばした。その勢いのままグンソクの部屋のインターホンを押す。
「はい、どなたですか」
グンソクの声を聞いた途端、私の勢いは失速した。それでも小さな声で名前を告げると、ドアが勢いよく開いた。
「どうしたの、美月?」そう言いながら、玄関に招き入れてくれる。
グンソクを前にしたら、もう何も言えなってしまった。グンソクは心配そうに見ている。
「あの……」
「あのね……」
「私……。わたし……、グンソクが好き……」
小さな声で、やっと告げる。
グンソクは目を見開いて、固まっていた。
(何も言ってくれないの? やっぱり、私じゃダメなの?)
「変なこと言って、ごめんね。ちょっと酔ってて……気にしないでね」
そう言って帰ろうとしたとき、グンソクが私の腕をつかみ、気づけば、私の背中はドアに押しつけられていた。グンソクの空いている手は、私の顔の横にある。
私は、身動きひとつできない状態だった。
グンソクは怖い顔で私をみている。
「なに? 何でこんなことをするの?」
グンソクは突然キスをしてきた。
(何で? 私が好きって言ったからキスしてくれるの?)
(そんなお情けのキスいらない)
私は、グンソクの胸を叩いて抵抗する。でも、その手もグンソクに掴まれ……
グンソクのキスは激しく、何回も角度を変え私の唇を塞いだ。次第に頭も体も甘く痺れ、やっと解放された時には……
私の口からは甘い吐息が漏れていた。
「美月、かわいい」
耳元でささやかれ、私の体温は一気に上がる。私は半泣き状態で、抗議の目をグンソクに向けた。
「どうしてキスしたの」
「美月、まだわからないの? じゃ、もっとキスしないと」
グンソクはまた、キスをしてくる。
「いや……あっ……」
(……グンソクって、すごくキスが上手……)
そんな私の反応に、さらにグンソクが反応して激しさが増す。夢中で唇を重ねていたら、マンションの廊下を歩く足音が響いた。
グンソクも私も驚いて、身体を離した。
グンソクが苦笑しながら、「リビングに行こう」と私の手を取ってくれる。
リビングに入ると、グンソクは優しい笑顔を私に向けた。それから、真剣な顔になり
「美月、好きだよ。愛してる」
「でも、最近美月は俺のことさけるから、ダメなんだと思ってた。でも、あきらめられなくて」
「だから、さっきの美月のことば、うれしかった。もう一度、言って?」
「わたしも……グンソクが好き」
今度のキスは、優しく甘かった。彼がどんなに風に私を想ってくれているか、唇から伝わってくる。
「どうしてキスしたか、わかってくれた?」
グンソクがちょっと意地悪な笑顔を向ける。私は頷くことしか出来なかった。
(どうしよう、もう立っていられない…)
その時、体がふわっと浮く。グンソクが抱き上げていた。そのまま寝室へ運ばれ、ベッドの上に優しく降ろされる。
「2回もがまんしたんだから、もうムリ。美月が欲しい」
熱のこもった目で見つめられる。こんな綺麗な男に、そんな目つきで言われたら、断れる女はいないだろう。私は、また頷くことしか出来ない。
グンソクが優しく、私の服を脱がしていく。
「グンソク、シャワー浴びたい……」
下着姿にされた私は、恥ずかしくなってそんなことを言った。
「えー、今はいいよ。俺、シャワー嫌いだし」
「おねがい、ちょっとだけ待ってて」
グンソクは口を尖らせながら、私を解放してくれた。
手早くシャワーを浴びてでると、洗面所に新しいタオルとグンソクのシャツが置いてあった。
「パジャマ代わりにそれ着て」グンソクの声が聞こえる。
グンソクのシャツ。それだけでドキドキしながら私は袖を通した。ボタンを留めようとすると、胸に小さな痣が出来ていることに気づく。
(キスマーク? いつの間に?)
私の体温はまた一気に上がってしまう。
(今からこんなにどきどきしていたら、この後どうなっちゃうの、わたし……)
寝室に戻ると、薄暗く照明が落とされグンソクはベッドでビールを飲んでいた。
「まってて、俺もシャワー浴びてくる。すぐだから」
飲みかけのビールを私に渡し、グンソクは浴室へ向かった。
ベッドに腰掛けビールを飲んでいたら、あっという間にグンソクが戻ってきた。髪が少し濡れ、上半身裸のグンソクを見たら、恥ずかしさが増す。グンソクは、私の手からビールを取り上げ、一気に飲み干す。
「いい子で待ってた? 美月」
私は最期の抵抗で、キスマークのことを抗議すると、
極上の笑顔で言われてしまう。
この笑顔も、耳元で囁かれる声も、全て私ひとりのもの。私は自分の腕をそっと、グンソクの背中に回した。