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今回の件は、俺もさすがにへこんだ。

もちろん、反論したいこともあったし、韓国人だからミスをしたと言われたことは我慢できないことだった。

 それでも、ミスをしたのは俺の責任だし、俺と一緒に頭を下げてくれる高橋さんに申し訳なかった。

 

 美月に誘われた時、最初は断ろうかと思った。でも、メールを読んだ時、思わず美月のほうを見たら美月の必死さが伝わってきて、結局お店に行くことにした。

 

 飲み始めてすぐ、美月が涙を堪えていることが分かった。自分のことのように悔しがって、怒って、そして謝ってくれる。

俺を励まそうと明るく振る舞う美月が、健気で、可愛くて、そして、俺は嬉しかった。

 

 二人ともかなり飲んでしまい、気づくと終電が終わっていた。美月は珍しく酔っぱらって今にも寝てしまいそうだ。

 

「美月~、俺の前じゃ酔わないんじゃなかったか~」

 

「今日はとくべつなの」

 

「ほら、帰るから。お前のうち、どこだよ?」いつも電車で帰るし、俺は先に降ろされるので、結局美月のマンションの場所は知らなかった。

 

でも、美月はすでに夢の世界だ。

 仕方なく俺はタクシーを拾い、美月をうちに連れて行った。

 

 部屋に入ると、俺は美月をベッドへ寝かした。洋服をどうするか迷ったが、勝手に脱がすわけにもいかないから、上着だけ脱がしてやった。

 

 布団の中で、美月はすやすやと寝ている。

 

俺はベッドに腰掛け、美月の頬にかかる髪をどけてやった。そのまま髪をなでる。さらさらとしたきれいな髪だ。そうして、起こさないように美月の髪をいじっていたら、気づけば、俺は美月にキスをしていた。

 

柔らかな感触に俺は刺激され、そのまま美月を抱きたくなった。

 

(俺、美月が好きなんだ)

 

(美月が欲しい)

 

(いや、酔ってる美月を抱くなんて、許されないよな)

 

(あ~~、何でそんな無防備に寝てるんだよ)

 

「美月が悪いんだからな」そう呟いて、俺はもう一度だけ、美月の唇に触れた。

 

そして、膨れ上がる欲望を抑えようと、美月の側を離れ、ソファーでひとり寝た。