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 俺は美月が好きだ。

 

 あの晩、自分の気持ちがはっきりとわかった。単なる同僚、飲み友達の関係では、もういられない。美月を自分のものにしたい。

 

 でも、あの日以降、美月とふたりで話すことがなくなった。店に行けば会えるだろうと、仕事をなんとか終わらせて行っても、美月はいなかった。

直接誘っても、ラインしても、返事はごまかされてしまう。

 

 食堂でお昼を食べている美月をみつけ隣に座っても、いつの間にかほかの女の子たちに囲まれ、美月は早々と席を立ってしまう。

社内で視線を感じることがあり、振り向くと美月の視線と絡むこともあった。嬉しくて笑顔を向けると、もう美月は別の方向を見ていたけど……

 

 仕事上は変わらず、いや以前より気を使って、二度とミスが出ないようにアシスタントしてくれている。ひとりで任される仕事が増えた今、美月のサポートはありがたかった。

 

 

俺は好きになったら、ガンガン攻めるタイプだ。本当なら、サプライズデートでも企画して、美月を喜ばせてやりたい。俺の気持ちをちゃんと伝えたい。

でも、慣れない日本でそんなデートは用意できそうにないし、何より仕事が忙しくなり、時間が足りなかった。 

  もしかして、あの夜のキスに気づいていて、避けられているのだろか。俺はちょっと焦っていた。