あたしが中2の頃,あたしには好きな人がいた。

竜一・・・・・

だけど,竜一には好きな子が居た。

その子はあたしでは無かった・・・。

同じクラスの美香だった・・・。

実際,美香は学校1と言えるくらいモテていた。

ある日・・・・

「いいなぁ。美香はモテモテで。」

と,あたしがボヤいた。

「え~愛美はそんなにモテるのがいいの??」

と美香は言う。

美香にはきっとモテない人の気持ちなど分からないだろう。

少しの間、沈黙が続いた・・・。

「・・・あたしは特定の一人にモテればそれでいいんだ・・・」

美香は言った。あたしは目を丸くして

「え!?好きな人いるの!?」

と,美香に聞いた。すると美香は深くうなずいた。

「・・・誰なの?教えてよ?」

あたしは聞いた・・・。ただ・・・その人が竜一でないことを願いながら・・・。

「じゃあ,その人と取り持つ手伝いしてくんない?ちょうど愛美と同じクラスだし。」

「・・・いいよ!」

よかった・・・。竜一とあたしは違うクラス。なんだかホっとするはずなのにホっとしない・・・。

美香の口から美香の好きな人を聞くまで、ホっとできない。

「・・・で、誰なの?」

美香はボソっとつぶやくような声で

「愛美の同じクラスの翼って人だよ・・・あたしの隣に住んでて幼馴染みなんだ・・・」

「・・・そっかぁ」

なんだか、全身の力が抜けた。

きっとホっとしたのだろう。

-翌日-

英語の授業だった。あたしはただボーっとしていた。そして先生が

「翼。この問題が分かるか?」

翼という名前に、あたしは反応した。あたしの視線はグラウンドから翼に切り替わる。

「アイア・・・・アンダ・・・ザット・・・・」

翼はあいまいな答えをしている。

・・・不思議だなぁ。美香なら男子なんて誰でも付き合えそうなのに・・・翼って人普通じゃん。

しかも頭も悪そうじゃん!!

・・・とにかく美香とは取り持つ手伝いをするという約束をしてしまったのだ。

なのでまずは隣の席になり,翼とお近づきになった。

「よろしく・・・。」

あたしは少し機嫌悪そうに言った。

「よろしくね!」

それに対して翼はご機嫌そうだった・・・。

-昼休み-

昼休みは美香と廊下でお喋り。

「あのさぁ~・・・翼って人、凡人だし普通より頭悪そうじゃん。」

あたしは美香にハッキリと言った。

「あぁ・・・たしかに頭悪いかも。でもあんなが感じがあたしにはいいんだ。」

「・・・ふーん」

美香が不思議で仕方ない。何であんな奴が好きなんだろう?

美香ならもっといい人と付き合えるのに・・・

改めてそう思った。

・・・放課後。今日も体育館へ行ってバスケの試合を見に行った。

理由は,竜一がいるから。竜一は結構モテていて,バスケ部でも一番バスケが上手だ。

モテるだけあって,女子が集まる。

「はぁ・・・」

自然とため息が出た。竜一はあたしのことなんてきっと好きじゃないだろうな・・・。

そう思うと,だんだん切なくなった。

あたしが体育館を出ようとした時,

「あっ!」

ボールがあたしに当たった。

「大丈夫?」

この声の主は・・・・

翼だった。

あたしは初めて翼がバスケ部だと知った。

これは美香が知ったら喜んでくれるかも・・・

「大丈夫です。」

そういって,体育館を出た。

-翌日-

「ねぇねぇ!美香!翼バスケ部だってさ!」

「え!ホント!?今度見に行こうかな♪」

自然と会話が弾んだ。というか・・・

美香は好きな人の部活くらい把握してると思った・・・。

「ねぇ・・・愛美も一緒に見に行かない?」

「え!?何で?」

「一人だと恥ずかしいじゃん・・・。」

「・・・そっかぁ」

「うん・・・。」

「いいよ!」

という事になり,美香と放課後に体育館に行った。

「わっ!本当に翼君だぁ~・・・」

それから美香はずっと黙って翼を見ていた。

あたしは竜一を見ていた。

竜一は昨日と変わらず人気があった。

竜一とあたしは一応友達。だけど最近全く会ってない。会いたいよ・・・また会いたいよ・・・

「はぁ・・・」

またため息が出た。その時・・・

竜一があたしに手を振ってくれた。

あたしも手を振った。

すごく嬉しい・・・

竜一,あたしに気づいてくれたんだ・・・

ただこれだけなのに,嬉しいよ・・・すっごく嬉しいよ・・・

竜一,ありがとう・・・

「ちょっと,なぁに?さっきの友達~?」

美香の声でハっとした。

「あぁ・・・うん。」

そしていつの間にかバスケ部の練習も終わった。

-翌日-

キーンコーンカーンコーン

あぁあ・・授業なんて受けたくないな。

でもサボれないし。

そんな事を思いながらボーっとしていた時。

「水曜日と木曜日の予定間違えたから教科書見せて~」

翼がのん気に話しかけてきた。

「いーよ。」

「ありがと!水曜日と木曜日の予定って似ててさぁついうっかり・・・」

は?水曜日と木曜日って全然違うし・・・。

コイツ,ボケてんのかな?

最近暑いからボケたのか・・・。

ま・どうでもいいか。

その日,あたしはほとんどの教科で教科書や辞典を翼に見せてあげた。

しかし・・・。

次の週・・・。

「ごっめんまた間違えた~」

「また・・・」

「ごめんごめん」

「・・・。」

2週連続で忘れるとか普通にありえない・・・・。

美香に言っておこう!!

-昼休み-

「美香ぁ~どう見てもアイツおかしいって!」

「そぉ???あんな感じいいじゃん。」

はぁ・・・美香,大丈夫かな?

「美香まで最近の暑さでおかしくなった?」

「えぇ!そんなコトないよぉ!」

キーンコーンカーンコーン…

「あっチャイム鳴っちゃった」

「あぁ・・・愛美!じゃあ放課後ね~!」

-5時間目-

また,翼が

「あっ消しゴム貸して」

「いっつも物忘れするね。だけど消しゴムは無理。」

どうしても貸せない理由があった・・・。

あたしの消しゴムはケースを外すと「竜一」

という文字が書いてある。

【消しゴムに好きな人の名前を書いて,その消しゴムを使うと書いた名前の人と恋が叶う。】

そんなデタラメっぽいまじないを信じて書いてしまった。

だから,消しゴムだけは貸せなかった。

「え?何で?貸してよ」

「嫌」

「お願い!」

「ごめん。無理。」

「じゃあ勝手に借りるよ~?・・・」

「駄目」

「えぇ・・・。」

「・・・。」

「もう勝手に借りるっ!」

「えっ!?」

「ちょっと待って!!!使う分だけ切ってあげるからッ!!!」

「いーから貸して!」

「・・・・。」

沈黙がしばらく続いた。

あぁ・・・どうしよう。翼が勝手にあたしの気持ちを竜一に言ってしまったら・・・・。

あたしは,とにかく翼がこの事を言わないように説得するため,呼び出した。

「・・・・昼休み屋上に来て」

「おぅ」

-昼休み-

「お願いッ!この事は誰にも言わないで!!竜一にも勝手に言わないで!!なんでも言うこときくから!!言わないで!!」

あたしは,今にも泣きそうなくらい必死だった。

「本当に何でもしてくれる??」

「っ・・・」

あたしが少し嫌そうな顔をすると

「そっちが言い始めんだから何でもしてね!」

翼は去ってしまった。

-次の日-

「日直変わってくれない?」

「っ・・・いいよ・・・」

何も言い返す事ができなかった。

悔しい・・・。でも言われるよりかはマシだ。

そう思いながらいつも我慢した。

「ジュース買ってきて」

「いいよ・・・。」

本当に最低・・・。

もう我慢できない。

「あのさぁ普通言うこときくっつったら1つでしょ!!何でパシリみたいにっ・・・!」

あたしがキレたように言うと

「・・・竜一」

翼はボソっとつぶやいた。

「っ・・・・!分かったよ!!!やればいいんでしょ!?」

「じゃあこれからバスケの練習するからボール拾いやって」

「いいよ・・・」

あぁ・・最悪・・・

ま・いっか・・・「言われるよりはマシ!」

心の中で呪文のように唱え続けた。

「フゥ・・・」

さすがに少し疲れた。小休止をしていると,

「お前はやっぱ俺のパシリはクビだ!」

いきなり翼が言った。

「え・・・」

少し安心した。でも,パシリをやめたからって竜一に言う気じゃ・・・

「そのかわり!明日!竜一とのレギュラー決めの試合は見に来いよ!!」

「?・・・うん?」

-翌日-

今日は体育館が賑やかだ・・・。

試合は後半を迎えていた。

今は5対6で竜一が勝っていた。

やっぱり竜一はカッコイイなぁ。

「翼君~!がんばれ~!」

隣では美香の声が聞こえる。

・・・あたしはどっちを応援すればいいのだろう。

試合中,あたしはずっとボーっとしてていた。

「ピピーッ!」

笛の音でハっとする。

どうやら試合は・・・・

6対7で竜一が勝った。