とにかく何か話さなくちゃいけないと思いました。
何か返事をしなくてはと。

Y君の『友達なら、あんまり頻繁に会うこともしないようにしようと思います』という言葉を聞いたとき、なんだか悲しくなった。その気持ちはもしかしたら『好き』ってことかもしれない。そんなふうに思いました。

「私は、私なりに好きだよ」

それで話は終わったかと思いました。
でも、その後、何かを紛らわすようにいつまでも喋っていました。チラ見した時計が12時を過ぎようというとき、そろそろ二人の終電の時間でした。

「そろそろ帰ろうか」

どちらともなく言って、駅まで歩きました。

「返事は今したほうがいい?」と聞くと、彼は「ハイ」ときっぱり答えました。
不思議とそのとき私が何と言ったのかは覚えて居無いのですが、とにかく、彼の告白に対してOKを出すという結果に至りました。

「手、つなぎましょっか」
「なんかこういうの恥ずかしいね。」

やっぱり手は汗ばんでいました。
駅までのほんの数分が、とっても長く感じました。

沈黙を破ったのは、Y君でした。

「オレは、○○さんと付き合いたいと思ってます」

なるほど、告白ってこういうふうにするんだ!
と、微妙なところに感動していましたが、とにかくそのときは、そうなんだ、うん、といった相づちを打つことしか出来ませんでした。

正直なところ、この時点では私が彼のことを好きなのか、付き合いたいと思っているのかは判りませんでした。
確かに仲良くなりたいとは思っていましたが、それは飽くまで一介の友人に対する好意に過ぎず、恋愛感情であると言い切れるほど、恋愛経験値を積んでいなかったのです。

それでも一つだけ確かだったのは、彼が言った「頻繁に会ったりするのも控えようと思います」の一言に対しての『そんなのは嫌だ』という思いでした。

手羽先を食べながら少しだけアルコールを摂取したので、いい気分で駅までの道のりを歩きました。

「夜景見にいきませんか?」

帰るにはまだ早い時間だったので、応じました。
もう少し彼と話がしたかったのです。

ところが、いざ目的地に到着すると、ちょうど展望台が閉まる時間で登ることが出来ませんでした。
せっかくここまで歩いてきたということで、建物の近くにあった植え込みの辺りに二人で腰掛けて少し話をしていました。
話の流れで、私は友達を狭く深く作ってるよーみたいなことを言ったときのことです。

「オレは友達ですか」

いきなりそんな風に切り出されて、私は内心かなり焦っていました。

「これから仲良くなっていけたらいいと思ってるよ。」
「オレは○○さんのことが好きなんですけど、友達なら、あんまり頻繁に会うことも控えようと思います。会いたくなっちゃうと思うけど…」

それからしばらくはお互いに黙ったままでした。