子供の頃、私にとっては当たり前だけど、友達からは不思議がられる特技がありました。ポップスなど簡単なメロディーの曲を聴いていると、初めて聴く曲であっても、メロディーを予想して歌えるということでした。
音楽のスキルがある人はできることですが、私はそれが特別なことだとは思わず、まさか自分に特別な音楽の才能があるとも思っていませんでしたので、これについてこれ以上トレーニングしたりする機会はありませんでした。
あの頃このスキルに気づいていれば(周りの大人を含め)、もっとちゃんとしたトレーニングを受けて私の聴くスキル、即興スキルが身長と同じように自然に伸びていたのでしょう。頭脳が柔軟なうちに伸ばすチャンスを逃した、と残念に思えて仕方がありませんでした。
が、残念に思ったままではもったいない!後悔の人生ではそれこそ残念です。勉強を始めようと決意した時がその人にとってのチャンスの時期。結婚適齢期とはその人が実際に結婚した時期が適齢期だというのと同じです。
というわけで、今の私があるのは、二十歳の時にピアノをやろうと思った自分の意志と、そこから出会った人々の支援と、紆余曲折しながら生きてきた体験があるから。子供の頃に英才教育を受けていたら、またそれで違う問題、課題、悩みがあったでしょう。人生とはそういうものです。子供の頃に受けたピアノのレッスンのクオリティーの悪さ(先生やその先生を見つけてきた親には申し訳ないけれども)だって、今気づけば昔レッスンでされてきたことはほとんど「やるべきでないこと」でしたから、今では「やるべきでないこと」の貴重な情報、知識源になっているのです。だから、私の場合は、昔こうやって習った、ということはとりあえずやらないほうがいい、という基準になってます。笑
大人になってからだって音楽はできます。それを遮るのは自分の「子供の頃から英才教育を受けた者だけが音楽を志す資格がある」という思いグセです。ぜひ今から自信を持って音楽を始めてください。知り合いのある人が言いました。「音楽は生きている人のものである」と。生きている人とはつまり私たち人間全てです。一部のエリートだけではありません。あなたが、私が、音楽の能力や経験に関係なく、学ぶから、奏でるから、音楽に価値が生まれるのです。