絶望的な物語の中に希望はあるのか
映画『あんのこと』を見た。
『違国日記』か『かくしごと』かと、内容はどれもよさそうだし、三作とも好きな女優さんが主演なので迷ったが、やっぱり河合優実さんがいいなと、これにした。
河合さんの出る映画は、ずっと前からよく見ていていいなあと思っていたからだ。
売春や麻薬の常習犯である21歳の香川杏は、ホステスの母親と足の悪い祖母と3人で暮らしているが、子どもの頃から酔った母親に殴られて育った彼女は、万引きしたのがばれて、小学4年生から不登校となる。
そして12歳の時に母親の紹介で売春、そして覚醒剤へという流れに。
実話に基づく話らしい。
映画は、そんな彼女が刑事・多々羅との出会いをきっかけに更生の道を歩み出す。
ジャーナリスト・桐野の助けも借りながら、新たな仕事や住まいを探し、立ち直りはじめるが・・・。
そんな話だ。
暗い映画だけどとてもよかった。
突然のコロナ禍によって路頭に迷うことになった人たちのことも思い出させてくれる。
映画の中にはほんのかすかに希望が描かれている気もするが、こんな少女がうまく人生をやり直すことができない今のこの国ってホントダメだなと情けなく思った。