当時の具体的な状況がよくわかる
映画『ゲバルトの杜 彼は早稲田で死んだ』を見た。
先日、毎日新聞に四方田犬彦さんがこの映画について書いていたのを読み、見に行こうと思った。
佐藤優さんと内田樹さんも映画に出て来るというので「これは見なければ」と見た。
内ゲバを掘り下げた映画だけに、観客は私より5~10歳ほど上の主として「全共闘世代」が多かった。
私は、連合赤軍事件後の大学入学だったが、それでもなぜあんな内ゲバが起こったのか、当時の学生運動は何がおかしかったのかと考えていたので、この映画も「当事者」ではないが、いろいろ考えながら集中して見た。そうだったんだとわかることもいくつかあって、いい映画だった。
1972年に、中核派のスパイ容疑をかけられた早大一文の学生が革マル派の学生たちに学内でリンチ殺人された事件とその後の学内での動きについて、被害者の周辺の人物へのインタビューし、同時に鴻上さん演出の再現ドラマパートやそのメイキング映像も加えた映画だ。
ちょっと見たこともない構成が新鮮だった。
佐藤優さんのコメントもさすがと思ったし、内田樹さんの「大義名分や正義の保証のもと躊躇なく他者に暴力を行使できる」ふだんは「普通」の学生がいることを指摘するコメントもさすがだなと思った。
「革命のためには何でも許される」というような思想からは、本当の革命は生まれないということを改めて思った。