教員の負担を減らせ

 

 福岡市東区の私立博多女子中学校で2月、公立高校の入学願書を学校側が出し忘れて生徒3人が志望校を受験できなかったということがあった。

 出願業務を担当した教諭が、締め切りを勘違いし、高校受験の願書を期限までに提出できなかったのだという。3人が受験を希望した古賀竟成館高校に中学校の校長が高校側と掛け合ったが「例外を認めるわけにはいかない」と受理を認められなかったということだ。

 この件で明石市の前市長・泉房穂は「批判覚悟で訴えたい。この件は子どもたちを救うべきだ」と私見を投稿している。そして「遅れた理由が明確であり、子どもたちに何らの責任もないのであれば、福岡県は例外的な措置として、生徒3人の入試願書を受理すべきだと思う。杓子定規な“建前”だけじゃなく、行政には“ひとの心”が必要だと私は思う」と言う。


 橋下元大阪府知事もテレビで首長が何とかできないのかと言っていた。この二人が同意見というのも珍しいが、それほどに今回のケースは何の責任もない子どもがかわいそうだということだろう。

 中学校からまとめて出願するのは、おそらく多くの県でやっていることで、中学校の三年生担当の教員は、何度も確認して出しに行く。大学の共通テストも同じで高校でまとめて出願する。そのため、人生に関わる事務作業となり、高校側はかなりの負担を強いられている。

 受け取る側の事務作業が減るという都合で、個人の出願にしないのだから、今回のような出願忘れの場合は、中学校の校長が書面できちんと説明すれば、願書を受け取るべきだと思う。

 もちろん、中学校のチェック体制の見直しなどは必要だが、多忙な中オーバーワークをしている現場教員がすべて悪いとされてはたまらない。

 かなり前だが、兵庫県で公立高校の入試採点ミスの問題があった。その頃は、その日のうちに採点をせねばならず、国語には百字の記述問題もあったりして、教員たちが夜の十二時を過ぎてもまだ採点をしていた学校もあった実態がわかり、その後は入試も記号の問題が増え、3日かけて何度もチェックして採点をしているという。

 今回もこれをきっかけに、中学校の出願の事務作業には教員以外の事務職員なども加わって、何重にも出し忘れがないか確認ができるように変えてほしいものである。

 また、大学入試の方は、高い受験料も払っているのだから共通テストも他の私大同様に個人出願に変えて、高校教員の負担を減らしてほしいと思う。