




近くには民家が点在し車も通る街道沿いだ。山では餌が不足しているのだろうか。
雨続きのため、折れた枝が林道に覆いかぶさっている。地盤は軟弱。慎重に歩行。
林道、河原を問わずあちこちに蜘蛛の巣ができている。
ステッキを縦に振りながら歩くが、完全には避けられない。
蜘蛛は巣は夏の宿敵。絶好のポイントで知らずに仕掛けを投じると、着水せず宙に止まることがあり、
よく見ると巣が張られていたりする。蜘蛛の糸は弾力性、粘着性に富み、強度が高い。
仕掛けを回収しても縮んで粘っこく絡んで、全部は取れない。
小さく丸めてオモリにくっ付けて続行するしかない。今日は神経戦、ストレス戦になりそうだ。
増水でポイントが増え、しかも広がっている。光の加減で見えない場合があり、
何度か仕掛けが巣に絡み付く。取ろうと竿を引くと今度は枝に絡み、仕掛けが台無しになる。
竿を置いてせっせと仕掛けを作り直す。つくづく釣りは根気のいる趣味だと思う。
それでも「宿敵」の間隙を突いて数匹のヤマメを上げる。
増水で縦に伸びたかけ上がりが狙い目だった。
一歩足を踏み出した先の岩に、アズマヒキガエルがおり、踏みそうになって慌て木をつかんで
難を逃れる。渓流ではカエルは妙に貫禄がある。