日本にある外国人向けの「日本語学校」が、これまでの法務省所管から文部科学省所管に変わります。とても良いことだと思います。私は超党派の「日本語教育推進議員連盟」に所属し、適正な日本語教育が行われることを後押ししてきました。

 

 これまでは法務省が在留資格の「留学」をちゃんと守っているかをチェックしていただけですが、文科省移管後は、新しく国家資格として設ける「登録日本語教員」の数や教育課程など、日本語をきちんと習得できる学校であることを確認して認定します。

 「日本語教育機関の認定に関する法律」が昨年成立、今年4月に施行されたことに伴うものです。

 

 現在、法務省所管の日本語学校が877校あるほか、大学の留学生別科として日本語教育を行っているところが約50(文科省所管)ありますが、いずれも令和11年(2029年)までの5年間のうちに日本語教育機関の認定を受けなければなりません。

 ことし10月に2回目の申請が受け付けられ、いずれも秋に認定が決まり、文科省が多言語でインターネットで公表します。学校は来年春の入学生向けの広告に表示することができます。

 一方、「登録日本語教員」の国家資格は、年に1度行われる国家試験に合格し、国が認めた大学や研修機関で教育実習を受けることで得られます。この資格は、年齢、国籍、母語を問わず取得できます。

 

 これまで日本語学校を法務省が所管していたのは、在留資格のひとつである「留学」を持つ外国人を受け入れる機関として、「半日の授業を週20時間行う」と定め、「週28時間はバイトをしてよい」を守っているか、「学生がちゃんと在学しているか(入学して在留資格を得た後、学校から消えて日本のどこかで不法就労などしていないか)」が点検の主眼でした。

 政府が、昨今、日本への留学生を増やそうと計画したり、特定技能制度を設け(先の通常国会で技能実習法を抜本改正し、育成就労法が成立)日本で人材が不足している職種分野に外国人労働者を日本に多く呼び込もうとしているのに合わせ、日本語教育の質を向上させるのがねらいです。

 

 文科省は、認定日本語教育機関の教育課程のレベルについて①日本の大学や大学院への入学を目指す人②日本で就労、生活する人(特定技能生は母国で日本語をある程度習得すべきことになっていますが、実際には、来日した後、日本語をあまりわかっていなかったことが判明するケースも多い)の2種類を分けて考えています。

 

 大学留学希望者向けには「B2以上目標」の課程を置くことと、授業は年間760単位以上(法務省告示機関ときと同じ)。

一方、日本での就労、生活を目的とする人には「B1以上目標」で、(日本語レベルの表現はA→B→Cの順に難しくなり、また、同じBなら1→2の順に難しくなる。通常の語感とは逆です)より易しくし、授業時間もB1が350時間、A2が200時間、A1が100時間以上で、4分の3を上限にオンライン授業を実施可能とし、特定技能の資格で①が働くために来日した人に合わせています。

 

 日本語教育機関団体連絡協議会(日本語学校の団体)からは、議員連盟に対し、6月、

① 語学教育は1人1人レベルが違う学生が、それぞれの目的で入学し、目標を達成できればそこで修了するもので、小中高のような進度を同じく一斉に学ぶ学校教育とは違う。本人の希望での課程変更、修了が可能になるよう、教育課程を柔軟に適用できる制度にしてほしい。

② 登録日本語教員試験の頻度と会場を増やしてほしい

③ 新規入国する留学生が銀行口座を開設する場合、ゆうちょ銀行以外は来日後、半年が経過しないと口座の開設が行えない。改善してほしい

などの要望があり、いずれももっともなことだと思い、今後、文科省に要請していきたいと思います。なお、文科省と出入国在留管理庁、あるいは文科省と都道府県への書類提出の重複を避けたり、簡略化などの要望もあり、「どの分野でもある話だなあ」と思いました。