トンガに、自衛隊が輸送艦と輸送機を送ることになりました。降灰で港湾や滑走路が使えなくなっているなか、ぜひ、しっかり役立ってほしいと思います。

 


 同国には大学時代から旧知の宗永健作大使が一昨年秋から赴任しています。海底ケーブルの遮断により通信不可のため、外務省担当課に問い合わせ、「大使館には衛星電話が設置されており、館員全員の無事を確認した」と聞き、ひと安心したところです。現地の状況を日本政府に伝え、支援のやり方について、やり取りしていることと思います。

 私は昨年4月、衆議院外務委員会で、コロナ禍の中、衛生状態が悪かったり、日本での帰国休暇を取りにくかったりする途上国の大使や館員たちの厳しい環境、苦悩を紹介。在外公館員の健康管理について政府が取り組んでほしいと訴えました。
 この質問をするにあたり、私は知り合いの大使や総領事10人余にメールを送って、実情を聞き、多くの有意義な返信をもらったのですが、「匿名希望」や「地域がわからないようにしてほしい」という大使ばかりだったなかで、ただ1人、「名前を出していい」と明言してくれたのが、宗永トンガ大使だったのです。

 


 彼は財務省時代にアジア開発銀行(マニラ)に複数回勤務するなど国際畑を歩み、横浜税関長として退官した後、大使への希望を持ち続け、63歳(という、やや高い年齢)で、南太平洋の人口10万人余りの島国に渡ったのです。
 トンガは、(ミクロネシアやパラオなど他の島嶼国もそうですが)コロナ患者ゼロ(コロナフリーと呼ばれる)です。医療環境が貧弱なため、コロナの発生を恐れて、ほぼ鎖国状態を保っています。
 そのため、宗永大使は赴任時、成田を出発してからトンガ大使館で勤務を始めるまで「5週間と3日」かかりました。シンガポール乗換で2日留め置かれて隔離、それからニュージーランドで2週間隔離され、その翌日、運よくトンガ政府のチャーター便に乗れたのですが、トンガに入った後、規制が非常に厳しく、ホテルに3週間隔離されたのです。大使も館員たちも、国外に出ることは不可能です。

 また、大使館員の健康のため、一般の大使館には医務官がいますが、太平洋の島嶼国では3―4か国に1人いるだけで、ふだんなら巡回するのに、各国ともコロナで鎖国状態だから、常駐するフィジーから動けません。日本に帰国する健康管理休暇の制度も活用できません。
 アフリカなどの大使館は、コロナ禍で日本に帰国する在留邦人のために飛行機の手配などに力を尽くしましたが、大使館員らは帰国する日本人を見送って後、その国にとどまるしかないのです。
 もちろん、日本の大使館が現地にとどまっているからこそ、今回のトンガのような場合に、日本政府が支援の手を差し伸べることができるのです。

 宗永大使の今年の「新年のあいさつ」(在トンガ日本国大使館HP)や、昨年5月の挨拶文などによると、もともと、トンガ政府が特別にチャーターした便しか入国ができず、昨年は実質鎖国の1年でした。東京オリンピックにも、トレーニングのためコロナ前から海外に出ていた選手しか参加することができませんでした。
 トンガへのワクチン供与で、日本は、オーストラリア、ニュージーランドとともに上位3か国(ODA全体もこの3か国が多い)で、ワクチン接種目標(全人口の7割)の達成に大きく寄与しました。
 しかし、本来なら日本のODAで完成しているはずだった「防災通信能力強化」が、コロナで日本の技術者が入国できなかったために、未完の状態でした。今回の、噴火・津波被害の復興支援に当たっても、非常に残念なことです。
 ラグビー日本代表でもトンガ出身選手が活躍しており、そろばん留学も続いているほか、太平洋地域では唯一の王国で、日本の皇室とも交流があるなど、親日国であるトンガ王国の復興に、日本の支援が役立つことを心より願い、宗永大使初め館員及びJICA関係者の方々が、大変な状況の下で、がんばっておられることに敬意を表します。

 以下の写真はニュージーランド軍が撮影した島の様子です。