子どもに接する仕事に就く人(現職を含む)の性犯罪歴を雇用主が確認する制度を導入するための法律「児童対象性暴力の防止法」が19日、国会で成立しました。前回の選挙における私の第一の公約が実現します。

 

 学校(小中高校、幼稚園など)と児童福祉法上の認可施設(保育所、児童養護施設、児童相談所など)は義務制で、対象者は全国で約230万人に上ります。一方、民間の学習塾や認可外保育所、スポーツクラブなどは任意制ですが「性犯罪歴の確認済み」を広告に表示することはできます。

 

 対象とする犯罪は、刑法の不同意性交罪と不同意わいせつ罪などに加え、「児童買春・ポルノ禁止法」違反及び、盗撮や痴漢などの条例違反も対象です。大人に対する性犯罪も含めます。

こども家庭庁の当初の案では、条例は含まないことになっていましたが、自民党の部会で、私も含め「条例も加えるべきだ」の主張が強く、追加されました。

 

 照会期間は、懲役で実刑の場合は、刑期満了から20年間、執行猶予付き判決の場合は裁判の確定から10年間、罰金刑の場合は罰金納付から10年間とします。

 

 学校や塾など事業者から確認申請を受けた子ども家庭庁が、法務省に犯歴を照会し、「犯罪事実確認書」を交付します。性犯罪歴がある場合には、事前に本人に通知され、事実と異なる場合は2週間以内に訂正請求ができます。内定を辞退すれば、確認書は事業者に交付されません。

 

 2026年度に施行する見通しです。現職の教職員についても施行後3年以内に性犯罪歴の有無を確認します。該当者は子供に接しない職場に異動させることになっていますが、(採用時にはこの法律はなかったので、解雇できないため)公務員の枠内で配置転換するのは、実際にはかなり難しいかもしれません。

 

 私は2021年に、「性犯罪で懲戒解雇となった教員は、二度と(全国のどの学校でも)教壇に立たせない法律」を議員立法で作ることに参画しましたが、この時、「一度目の犯罪を生まないためにも、そのような前歴のある人を採用しないことが重要」「教員をやめさせられた人が塾や学童保育に勤務することを防ぐべきだ」と考え、今回の法律が必要であると働きかけてきました。

 

 衆議院、参議院では、付帯決議を採択し、

①  照会の対象となる性犯罪の種類を下着窃盗やストーカー行為などに拡大すること

②  照会期間の延長を検討すること

③  示談等により不起訴とされた場合や、刑事事件には至らないものの懲戒解雇となった場合などでも対象とすること

④芸能事務所のように主たる事業が教育でなく、対象がこどもに限らない場合でも、こどもを対象とする事業であれば広く含まれるようにすること

⑤家庭教師やベビーシッターなど、子どもを対象とする事業を営む個人事業主、マッチングアプリなどによる個人契約やフランチャイズ方式も、犯罪事実確認等の対象とする仕組みを早急に検討すること

などを政府に求めました。

 

 施行後、3年をめどに制度の見直しを検討することになっていますが、今回不十分だったと考える(照会期間が刑期終了後短いことなど)については、早めに議論していこうと思います。