3日、自民党中小・小規模事業者政策調査会と競争政策調査会の提言を、岸田文雄総理に申し入れました。私は中小・小規模事業者政策調査会の会長代理を務め、提言のとりまとめに携わりました。

 

 

私は「中小企業の経営者に会うと、労働規制について特に苦情を言われます。トラックやタクシーの運転手さん、工場で働く人が、もっと働きたいのに、規制で収入が減り、よそでバイトする。結局、健康に悪い」

また、価格転嫁について「原材料の値上がり分は8割、エネルギーコストは5割転嫁されているのに、労務費はわずか3割だけです。これでは、中小・小規模事業者の従業員の給料は引き上げられず、大企業との差が一層広がっています」と述べました。

 総理は「今の資本主義が、新しいステージを迎えるにあたって、中小・小規模事業者でも賃上げが広がることが非常に重要」と同意しました。

 

 

[提言の主な内容]

○価格転嫁の徹底など、下請けいじめを許さないための施策として

・中小企業庁の調査では、価格転嫁率は46%に過ぎず、価格を据え置かれている受注者も2割、そもそも価格交渉を希望したができなかった受注者も1割存在する。下請法に基づく「勧告」件数は現在、年間10件程度だが、今後、下請法や独占禁止法を厳正に執行し、中小企業の賃上げを実現する社会に転換していく。

・下請法違反で勧告を受けた企業には、補助金交付や入札参加資格を停止する

・中小企業庁や国交省の「下請けGメン」や「トラックGメン」の強化、また公取委の体制強化が必要

・現在のようなコスト上昇局面では「価格の据え置き」は

「買いたたき」に該当すると、下請法の運用基準を改める

・発注者と受注者が対等な関係であることを強調するため、「下請事業者」に代わる用語を検討すべき

 

 ○約束手形(電子記録債権やファクタリングを含む)について

・今年11月から、支払いサイトを120日から60日にする

・2026年に約束手形の利用を廃止

・その実現のため、発注者の資金繰り負担を軽減する融資制度の利用拡充

 

 ○コロナ期のゼロゼロ融資は、倒産の抑制や雇用維持に効果を発揮したが、「100%保証」中心の事業者に対しては、民間金融機関が経営改善・再生支援に乗り出すインセンティブに乏しく、「80%保証」への移行を進めるべき。そのため、コロナの借り換え保証は今年6月末までとすべき

○中小企業の人手不足解消のため、今年度から受入見込数を2倍超に拡大した特定技能(外国人材)の活用や、省力化投資による生産性向上のほか、5年間の繰越控除の創設などを含む「賃上げ促進税制」についてしっかり周知すべきである

○やりがいや所得向上等の観点から「もっと働きたい」という労働者にとっての「働き方改革」の位置づけを再検討する必要がある。「働くべきときに働かない」労働者が増えることが、国の競争力強化の観点から問題

 ○事業承継について

・税制面では役員就任要件の見直しや、従業員承継も十分に活用できるよう見直し

・「アトツギ甲子園」の開催で、後継者支援を強化すべき

・M&Aについて、仲介手数料の開示を進め、仲介事業者間の競争を喚起していくべき

・旧経営者による経営者保証が残ったままにならないようにする