「子どもの貧困」問題のなかで、「養育費を受け取っていないひとり親家庭」は大きな存在です。

 

 そこで、法務省は①法テラスに紹介してもらって養育費の申し立てをした場合の弁護士費用の償還免除を可能にする範囲を広げる②父母間で取り決めができない場合でも養育費を請求できる「法定養育費制度」を新設③差し押さえを容易にするため、養育費債権に先取特権を付与—などにより、養育費を取り立てやすくします。

 ①は4月から実施。②と③はあす14日から国会で審議される民法改正案の成立後に施行されます。

 

 民法改正は共同親権に注目が集まっていますが、養育費の問題も含まれています。

 

 ひとり親が子の養育費を確保するため、法テラス(法務省所管の準独立行政法人で全国103カ所に地方事務所を設置)に相談し、弁護士を紹介してもらって申し立てをした場合、弁護士費用など(約20万円―30万円)を法テラスが立て替えてくれる制度がありますが、償還免除の対象は、これまでは㋐生活保護受給者㋑これに準ずる程度に生計困難であり、かつ、将来にわたって資力回復困難な者に限られていました。

 今回の制度改正により、義務教育対象年齢までの子を扶養するひとり親についての償還免除の要件が緩和され、たとえば親ひとり子ひとり(東京23区居住)ならば、「月収約19万3000円以下、かつ、預貯金など金融資産が66万円以下」の場合には償還免除となり、将来にわたって資力回復困難であるか否かは問われません。子ども3人なら、月収は約23万円以下となります。

 厚生労働省によると、2021年度に養育費の取り決めをしている割合は母子家庭で46.7%、父子家庭28.3%。実際に養育費を受けている割合は、推計で、母子家庭28.1%。父子家庭8.7%に留まります。

 

 「法定養育費」は、離婚の際にDVなどにより養育費に関する協議をすることが困難なケースでも養育費請求を可能とするもので、改正法案が成立した場合には、法務省令で請求することができる具体的な金額を決めることになります。