公正取引委員会と中小企業庁は、「約束手形のサイト(支払いまでの期間)を60日以内に短縮する」方針を決め、28日、パブリックコメント(意見公募)を始めました。https://public-comment.e-gov.go.jp/servlet/Public?CLASSNAME=PCMMSTDETAIL&id=110300038&Mode=0

 

 11月に公取委が通達を出し、下請代金支払遅延等防止法によって取り締まる対象とする方針です。

 

 「下請けいじめを許さない」をモットーとしてきた私にとって、約束手形は長年の慣習とはいえ、許せない存在であり、これまでずっと廃止を訴えてきました。

 「支払いサイト」とは、商品やサービスを提供した翌月の支払い日から、実際に現金が振り込まれるまでの期間のこと。現在は120日(繊維は90日)が基本です。それ以前に売上金を手にしたい会社は、銀行に手形を持ち込み、割引手数料を差し引かれた金額を受け取ることになります。

 例えば、4月中に製品を納入したりサービス(運送など)を提供したりすると、4月末締め、翌月末支払いが基本で、現金払いなら5月末に代金が受け取れます。

 ところが、120日サイトの手形による決済の場合は、お金の受け取りが5月末から120日後となるわけです。

 

 それが60日に短縮されることで、中小・小規模事業の資金繰りが、少しは改善されます。

 

 現在の「120日サイト」については、高度成長期の昭和40年代初め、大企業が、設備投資など資金需要が旺盛で、銀行からの融資が間に合わなかったため、大企業の事情を優先して生まれ、政府も容認してきました。それが、資金余り時代の令和まで続き、中小・小規模事業に苦労を強いてきたのです。

 

 私は、経済産業副大臣を務めた2014年以来、「約束手形の廃止」を目指し、政府は「2026年までに廃止」の目標を掲げるまでになりました。
 2014年当時は、手形の交換枚数は(年間)約1900万枚でしたが、2022年には半分以下の800万枚にまで減ってきました。しかし、まだまだ残っています。