相続した不動産(これまでに相続したものを含む)の登記の義務付けがこの4月に始まるのに先立ち、昨年始まった「相続したけれど、不要な土地を国に引き取ってもらう」制度に関心が寄せられています。

 

 相続土地国庫帰属法が昨年4月末に施行されて以来、今年1月末までに、延べ相談件数が2万1985件にのぼり、1661件の申請がありました。審査の結果、117件の国有化が決まりました。

 内訳は、宅地が52件、農用地(登記上の地目は田・畑)24件、森林(同、山林)5件などです。今後、財務省または農林水産省(農用地と山林)が管理し、売れるものは売っていきます。

 

 申請には「建物が建っていない」「土壌汚染や埋設物がない」などの条件があります。山林の立木は問題ありません。

 土地のタイプごとに10年分の管理費を「負担金」として国に納める必要があります。

 

 申請件数の割に、帰属決定が少ないのは、「国が引き取るかどうか、負担金をいくらにするか」決める審査に8か月ほどかかるためです。

 特に地目が田・畑の場合、調査に時間がかかり、土地改良事業に伴う賦課金の支払いが残っていると「不承認」になります。

 また、登記上、個人の土地であっても、実際には道路などに使われている場合は申請が却下されます。

 すでに国有化が決まったなかには、そこそこの都市部で、隣に住宅が建っているような「宅地」もあります。

 相続した人が遠方にいて、「時間をかければ売れるかもしれないが、不動産屋さんに売却を依頼するのも面倒」ということなのかもしれません。

 

 手続きの窓口は法務省の法務局(東京の場合、九段下にある東京法務局本局だけ)で、事前相談から手続きが始まります。相談したい土地の登記事項証明書、現地の写真、地図などを持参すると相談が円滑に進みます。

 10年分の負担金は、基本的に20万円ですが、土地のタイプにより一部異なり、森林は、1500㎡が約27万円、3000㎡が約30万円。市街化区域の宅地や田畑は、近隣に迷惑をかけないよう、管理の手間がかかるので、宅地は100㎡が約55万円、200㎡が約80万円、田畑は500㎡が約72万円、1000㎡が約110万円と高くなります。これら以外の荒れ地は面積にかかわらず20万円です。

 なお、代理申請できるのは、弁護士、司法書士、行政書士だけです。

 

https://www.moj.go.jp/MINJI/minji05_00454.html

相続土地国庫帰属制度HP