民間金融機関(銀行、信用金庫、信用組合)の「新規融資に占める経営者保証に依存しない融資の割合」が今年度上半期に46.7%となりました。(金融庁が26日発表)

 2022年度の平均が33.9%でしたから、約1.5倍と大きく伸びたのです。

 中小・小規模事業者政策をライフワークとしている私は、もし、破産したときに、身ぐるみはがされ、住み慣れた家を追い出される悲劇を防ぐため、「『経営者の個人保証』がなくても融資が受けられる」仕組みを長年求め、予算委員会でも質問してきました。

 これを受け、金融庁がやっとことし4月、監督指針を改正しました。

◎原則、経営者の個人保証を求めない

◎経営者保証を求める場合には、

a.どの部分が十分ではないために保証契約が必要となるのか、個別具体の内容

b.どのような改善を図れば保証契約の変更・解除の可能性が高まるか、個別具体の内容

という詳細な説明を行い、その結果を記録することを金融機関に求めるというのが、その内容です。

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 私が経済産業副大臣だった2013年12月、民間の動きを後押しする形で、金融庁とともに「経営者保証に関するガイドライン」をつくりました。これが適用された1年後の2015年には、「新規融資に占める経営者保証に依存しない融資の割合」はわずか12.2%でしたが、少しずつ増え、昨年度は全体の3分の1、そして今やっと「半数近く」となったのです。

 

 実数では2022年度が82万8419件に対し、今年度上半期は57万6399件ですから、今年3月までの1年間では100万件を突破することになるでしょう。

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 個人保証の存在は、社長の子どもたちが後継者になるのをちゅうちょする大きな要因ともなっています。公務員や大企業のサラリーマンをやめて、「親の事業を継ぎたい」などと言い出したら、配偶者の多くが「そんな危ないことはやめて」と止めるでしょう。

 かつて、金融機関には、事業承継に際し、「新社長は保証能力が不十分」との認識から、前社長と新社長の両方の個人保証を取ったり、そこまでいかなくても前社長の保証を取り続ける会社もありました。

 

 2017年度は37%が双方から保証を取り、政府の働きかけにより、2018年度からは減少し始めましたが、代わって、前社長の保証を取るケースが40-50%に及びました。今年度上期は、まだ前・新社長のいずれかから保証を取る会社が多いものの、事業承継にあたり「個人保証なし」でスタートできた会社も17%になりました。

 今後、この割合が着実に増えるよう、一層、推進していきたいと思います。