都会でも地方でも空き家がどんどん増えていて、現在は全国で350万戸に達しています。

 

 私は、町の不動産屋さんたちが嘆く声をよく聞いていました。「今なら 改修すれば売れるのに」とか 「駅に近いし、解体して更地にして新しい家を建てたら売れるのに」など。

 「でも、誰が相続して、どこに住んでいるかわからない。固定資産税情報をつかんでいる区役所が我々を信頼してそれを教えてくれればいいのになあ」と。

 

 今国会で改正された「空き家対策特別措置法」により、地元事情に明るい不動産屋さんたちに、空き家流通に一役買ってもらうことにしました。

 「改正空き家対策特別措置法」では、空き家がひどい状態になる前に利活用を進めるため、区市町村が「空き家等管理活用支援法人」を指定することにしています。国土交通省が「宅建業者団体」等(当該区市町村に支部がない、全国規模や都道府県の団体でも良い)を例に挙げて示すことに決め、31日に開かれた「自民党住宅土地・都市政策調査会」(私が会長)で明らかにしました。

 私は衆議院予算委員会(2月)や調査会などで、このことを主張してきました。

改正前の「空き家対策特別措置法」では、極端にひどい状況の特定空き家(屋根が飛びそうだとか、倒壊しそうだとか、動物が住みついて糞尿で衛生上の害をもたらす、など)については、市区町村が強制的に解体して更地にするなど代執行をすることができましたが、所有者に後から訴えられることなどを心配し、今年春までの8年間で595件と、なかなか進みませんでした。

 そこで、今改正では「特定空き家」になる前に、所有者に指導勧告を行い、それが受け入れられない場合は、「住宅が建っている場合には固定資産税を6分の1に軽減する」優遇措置をなくすことにしています。これにより、固定資産税が概ね4倍ぐらいに跳ね上がります。

 

 空き家の主な原因は、親から相続したけれども、「自分はすでに家を持っている」「親が大切にしていた家を手放すのは申し訳ない」「遺品整理も面倒だし、解体するにはお金がかかる」など相続した家を「とりあえず空き家」にしている場合が大半です。

 

 区市町村は固定資産税情報などによってわかっている所有者(地域外に住む人を含めて)に連絡し、氏名や住所、連絡先などの情報を「空き家等管理活用支援法人」に情報提供してよいか確認した上で、法人から「どうしたらよいかわからないでいる所有者」にアドバイスしてもらいます。

 借地の場合や、相続が複雑で未確定の場合など、司法書士らの手を借りることも考えられます。

こうして、自分で遺品整理や解体費用の捻出を行わなくても更地にできる、あるいは不動産会社が改修して売りに出せるということで、「なんとなく空き家」が流通ルートに乗ります。

 

 区市町村だけでは職員の数や専門性に限界があるので、地域の実情に通じ、専門知識のある宅建士や司法書士、行政書士、建築士などの力を借りて空き家の増大を防ごう、というわけです。

 改正措置法は12月に施行されますが、その前に国交省が自治体に対する「手引き」を作ることにしています。