スペースデブリ(宇宙ごみ)の除去事業を行い、世界各国の機関から受注している民間企業「アストロスケール」の新社屋が、墨田区の錦糸土木事務所跡地に完成し、創立10周年と合わせた記念式典に出席しました。

 

 

創業者の岡田光信CEOは、自民党の宇宙・海洋開発特別委員会など、党本部で様々な機会に講演してもらっており、今回の新社屋移転も、本社の移転先を探す同社と、区錦糸土木事務所跡地を先端的なスタートアップ企業の集積地として活用したい墨田区を私が結び付けたことがきっかけで実現しました。

 

 

 私は、最初、「スペースデブリの除去事業」と聞いたとき、

「JAXAやNASAのような政府機関、または国連など国際的な枠組みの中で行うものではないのか。一民間企業が手を出せるものなのか」と思いましたが、今では各国の宇宙機関と協力しながら事業を進め、日本と、シンガポール、アメリカ、イギリス、イスラエル、フランスに計500人の従業員を抱える企業に成長しています。

 

 スペースデブリとは、役割を終えた人工衛星や、ロケットから外れた部品など、宇宙空間を高速(秒速約8km)で浮遊しつづけるごみのことです。ロケットの打ち上げが増えるにつれ、ごみも増え続け、人工衛星とデブリがニアミスした回数は、2020年は1か月に2000回程度だったのが、2021年には6000回に急増するなど、危険が増しています。

 

 

 同社では、磁石やロボットアームでデブリを回収する技術の開発や、打ち上げた人工衛星を長寿命化する事業を立ち上げています。いわば「JAFの宇宙版」として、政府機関から受注すると対象のデブリを大気圏で燃やし、また、地球の海に落下させるのです。

除去のための人工衛星は、錦糸町の50mプール程の大きさの工場で製造し、1度に4台ほど作れるということです。

 

 錦糸町の新社屋には、一般の人に宇宙ゴミや宇宙の軌道について解説する施設も新設されました(要予約)。墨田区や江戸川区など近隣の子どもたちが訪れ、宇宙への夢を育んでくれることを期待しています。