5日午後、岸田文雄総理が墨田区八広の森清化工を視察し、私も同行しました。

 

 同社の社員は55%が女性で、特に、パソコンでの仕事が多い営業センターは7割近くを女性が占めています。

 中小企業庁の「地域未来牽引企業」に選出され、省人化や高齢者雇用、多様な働き方を認めるなど、先進的な取り組みを行っていることから、今回、岸田総理が訪れ、社員の方々と話しました。

 

 

 昭和25年創業の同社は、気体や液体の漏れを防ぐゴム製の部品「O(オー)リング」を製造し、自動車部品や電化製品、半導体工場などで広く活用されています。

 Oリングには、1個数銭から、数百万円のものまであり、同社では6万7000品目に及ぶ製品を扱い、多品種・少ロットで大手企業との差を出しています。最も高価なものは原発機器に使うもので、高温に耐えられる特殊な素材でできているそうです。

 

 働きやすい環境をつくるための工夫を問われた毛利栄希社長(50)は、「まずは利益を生み出せる会社にすることが大事です。国内生産にこだわり、輸入ができなくなったときの地政学リスクをお客さんに理解してもらうことで、価格転嫁できました。働き方の面では、2時間でも3時間でも少ない時間から働いてもらえるようにするなど、多様な働き方を認めています」と答えました。

 

 

 2020年にパートタイマーとして入り、今は管理職になっている女性社員は、「『時給を上げてもらって、就業調整が大変たいへん』と言っていたら、1年後に会社から『社員として働かないか』と誘われました」と語りました。

 また、「『年収の壁』を2年間なくすと報道されているが、それでは3年目から困る」と総理に注文。

 

 子どもが希望していた保育園に入れず、幼稚園に通っているため、時短勤務している女性は、「子どもが小学校に上がったら、学童クラブに入れるか心配」と語りました。

 

 岸田総理は、「『年収の壁』の問題は、本格的な法律改正などは時間がかかるので、今、困っている方にとりあえず2年間の対応策を示したもの。その後、制度の抜本的改革をして、働きやすくします」

「学童保育の充実も、子育て支援として、今回の経済対策に入れます」と答えました。

 

   森清化工が支援している、墨田区内のフットサルクラブ「フウガドールすみだ」にかつて所属し、今は会社がつくったチームで活躍する20代男性社員は、「会社が競技と仕事を両立できる環境を作ってくれている」と話し、総理も「スポーツ選手のセカンドキャリアを考える上で、いい取り組み」と評価しました。

 

 

 検品工程に同社が開発した2台の省人化機械を導入。それぞれ製品を4個ずつ乗せ、ペダルを押せば機械がくるりと回って検品する仕組みです。シルバー人材センターから派遣された「この仕事はまだ3ヶ月」の女性が2台分を軽々とこなしていました。

 従来はリング一つ一つを手で持って伸ばしてみて点検するやり方で、集中力を維持するのが結構難しかったそうです。