21日閉会した通常国会では、性犯罪被害者の立場を重視した刑法の改正が実現しました。

 

 罪名も、現在の「強制性交等罪」(それ以前は「強姦罪」)から「不同意性交等罪」に改めます。

 かつては暴力、脅迫に対し、必死に抵抗したことを証明できなければ犯罪と認められないなど、被害者にとって厳しいものでしたが、「暴行・脅迫」以外にも、「突然のことで、同意しない意思を表明する、いとまがなかった」「予想と異なる事態に直面したための恐怖、驚愕」「虐待に起因する心理的反応」「経済的・社会的関係上の地位に基づく影響力による不利益の憂慮」など、どういう行為や状態の場合に犯罪に当たるか、8つの事例を示しました。

 現場の警察や検察、そして全国の裁判官が同じ判断基準を持つためです。

 

 また、性交同意年齢を13歳から16歳に引き上げました。ただ、「13歳から15歳の子に対する性行為は、加害者が5歳以上、年上なら処罰」という要件が付いています。

 

 私は2014年9月3日、法務大臣に就任した日、総理官邸の記者会見で「強姦罪の法定刑が懲役3年で、強盗罪は懲役5年。強姦罪のほうが罪が軽いのはおかしい。これを改めたい」と発言しました。

 その後、明治以来111年ぶりに刑法が改正され、殺人罪や強盗罪と同じ「懲役5年以上」に引き上げ、執行猶予がつかないようにしました。

この改正の際に、「3年後、見直し」の項目をつけたことが、今回の再改正につながりました。

 

 その間、性犯罪に対する判決が裁判官によって大きく異なったり、あまりにもひどい事件なのに、無罪判決が出たりしたことがきっかけとなり、被害者本人が勇気を出し、苦しい胸の内を、見ず知らずの人の前で話す、「フラワーデモ」も全国で度重ねて行われ、「同意なき性交は犯罪」という考えを基本とする法律に改正するための大きな推進力となりました。

 

 公訴時効は、犯罪のレベルにより5年ずつ延長したほか、被害者が18歳未満であるときは、18歳になる日までの期間を追加します。被害者が子どもの場合、何が起きたか判断ができないためです。

 

 フラワーデモの中心的役割を担ったSpringの代表の方々が21日、私を訪ね手作りの「感謝状」を下さいました。政治家冥利に尽きます。