「非正規公務員の処遇改善」について、15日の衆議院予算委員会で質問を予定したものの時間の都合で、できませんでした。私は強く問題意識を持っているテーマなので、ここに掲載します。

国家公務員にも地方公務員にも非常勤職員が多く、その中には、非常に専門的な職種でも、1年ごとの雇用で、来年雇ってもらえるかわからず、賃金も低いまま、という状況の方々がいます。

 国家公務員ではハローワークが最もひどい状況です。
 令和4年度は常勤が1万150人に対し、非常勤の相談員は2万1431人で、2倍以上の人数です。コロナ以前から非常勤率が6割程度という状態が続いています。

 窓口に来る人は「長く勤められる会社がいい」などと要望し、相談員はうまく当てはまる会社があるか相談に乗ったり、あるいは「給与をあまり高望みしても、難しいですよ」と諭したり、求職者にとって、ハローワークの職員は、人生の相談員のようなものです。

 コロナ前にハローワークを視察した際、相談員の方々、多くは女性でしたが、「私たちは来年3月までの雇用です」と伺い、びっくりしたのが、関心を持ったきっかけでした。
厚労省によると、原則、毎年公募で、勤務実績などから判断して、2回は再採用できますが、計3年で終わりとのことです。
常勤職員の数は微減ですが、これは内閣人事局の「定員の合理化」によるものです。こうなると、定員の数の方がおかしいと考えています。
 
国防関連を除く、国と地方を合わせた公務員の数は、人口1000人当たり、フランスが86人、イギリスが64.8人に対して日本は34.8人で、世界的に見ても少ないと言えます。

 地方公務員は、全体で常勤が約280万人に対し、パートを含む非常勤職員が約69万人。

婦人相談員という専門的な仕事の女性が市や区、都道府県に約1600人います。DVから逃げている女性や、自死願望のある女性などに寄り添い、住むところや自立の道を一緒に探すという、やりがいはありますが、ハードな仕事です。
 大卒で、社会福祉や精神福祉の専門家である場合が多いのですが、9割近くが非常勤の「会計年度任用職員」で、昇給も制限があり(なんと、月収を下げ、それを貯めた分をボーナスとして出すというやり方をする自治体もあるそうです)、令和2年から法改正により「期末手当の支給が可能」となりましたが、自治体により年収が増えていないところもあり、「大卒初任給並み以下」という状況は変わりません。
 何回も更新されたベテラン職員が多いのですが、収入は何十年たっても大きく変わらないままです。

 婦人相談員の処遇を知ったのも、昭和30年代に売春防止法に基づいて制度化された「婦人相談員」の業務の変化や、実態に合わせた「女性相談員」として再スタートさせる法整備のために、党本部で婦人相談員の方たちから話をうかがったのが、端緒でした。
 全国の自治体に約3000人いる消費生活相談員や、いじめ対策、不登校児童、生徒指導のためのスクールカウンセラーなども、多くが非常勤職員です。

 様々な社会的問題が増えるたび、私たち政治家は「相談員を増やして、きめ細やかな対応を」と要求しますが、多くの方がこうした非常勤、短期の不安定な形態で雇われています。その多くは女性です。短期では培えない専門性を持った人たちが、「やりがい搾取」とも言われる形で、一生懸命働いているのです。まさに、官製ワーキングプアです。
 専門職種として他の部門への異動なく、長期に雇用できる制度を国として今後作るべきと考えています。今後、ITに特化した職も自治体や国でどんどん必要になってくるでしょう。
政府が民間企業には中小企業も含めて非正規社員を正規社員にするよう働きかける一方で、公務員の仕事が増えているのにこれまで通り定員を減らし続け、足りない分を非正規雇用で補っているのはおかしいと思います。また、専門的知識を必要とする仕事の人たちには、それにふさわしい処遇があると考えます。

今後も政府に対して非正規公務員の処遇改善を働きかけていきます。