24日、自民党の法務部会・司法制度調査会合同会議が開かれ、性犯罪にかかわる刑法再改正について法務省から説明を受けました。

 法制審議会がまとめた要綱をもとに、今国会で法律を改正する見通しです。

 

 私は、「高く評価している部分」と「問題があると考える部分」があると指摘しました。犯罪構成の要件である「拒絶が困難だった」事情を具体的に8つ例示したことについては、「現場の警察や検察、そして全国の裁判官が同じ判断基準を持つことができ、有意義である」と評価しました。(後に詳述)

 

 一方、私が強く主張してきた「性交同意年齢を13歳から16歳に引き上げる」ことも盛り込まれましたが、「13歳から15歳の子に対する性行為は、加害者が5歳以上、年上なら処罰」という要件が付き、これについて私は、異議を唱えています。

年齢差が5歳なくても、加害者が成人(18歳以上)なら処罰の対象とすべきだと考え、意見を述べました。

 

 ともあれ、今国会において、法改正を実現させてほしいと思います。

 

 

― ― ― ― ― ― ◇ ― ― ― ― ― 

 

 

 現行法では、犯罪の要件として、暴行、脅迫、心神喪失のほか「抗拒不能」という項目がありますが、これがどんな状態を指すのか、さっぱりわかりません。

 突然、迫られてフリーズしてしまうことだってあるのに、「死に物狂いで抵抗しなかったのが悪い」と被害者が責められることさえ、ありました。

 

 今回の案では、ア「暴行・脅迫」イ「心身の障害」ウ「アルコール・薬物の影響」エ「睡眠その他の意識不明瞭」オ「拒絶するいとまの不存在」カ「予想と異なる事態との直面に起因する恐怖または驚愕」キ「虐待に起因する心理的反応」ク「経済的、社会的地位に基づく影響力による不利益の憂慮」の8つが挙げられています。

 

 たとえば、私がこれまで度々、指摘してきた「スポーツ推薦で名門校に入ったら、コーチに迫られた。レギュラー欲しさに拒否できなかった」というのは「ク」に該当します。

 最近、問題として取り上げられるようになった「出演を望む女優に、監督や演出家が性行為を強要すること」も「ク」に該当しています。

 また、パーティーと称して自宅に招かれ、家族や友人がいると思って出かけたら、2人きりだった場合は「カ」に当たるでしょう。パートナーや親子間で「キ」に含まれるものもあるでしょう。

 

 性交同意年齢の引き上げに関しては、「13歳から15歳までを対象とした性行為は加害者が5歳以上、年上の場合だけ処罰」という条件がつけられました。「14歳と15歳の恋人が純粋な気持ちで性行為をした場合まで処罰の対象とするべきでない」というのが、法務省や法制審の言い分です。この例示の趣旨は私も認めます。

 しかし、私は同じ年や、せいぜい2歳上までなら「力の差のない、純粋、対等な立場での恋愛」とみてもいいけれど、行為者が成人(18歳以上)なら、処罰の対象にすべきだと考えます。10代において、3歳年上、4歳年上は十分に圧力を与えうる存在だからです。

 

 たとえば、14歳(中学2年生)の少女と18歳の成人男性、15歳(中学3年生)の少女と18歳や19歳の成人男性という組み合わせの場合、たとえ2人が好きだと思って気持ちが盛り上がったとしても、その際、成人男性は「相手の中学生がもし妊娠したら、その後の学校生活は大変なことになる」ということに配慮すべき責任を負っていると思います。

 

 多くの都道府県が青少年保護育成条例の中に「淫行」という項目を設け、18歳未満と知りつつ性行為を行ったら、条例違反で逮捕されることになっているのです。

 法律がそれよりも緩いかのような印象を与えることはあってはならないと考えます。