2月15日に衆議院予算委員会(NHK中継あり)で、私が質問したうち「緊急避妊薬を薬局で買えるようにする」ことについて、私の質問と加藤勝信厚生労働大臣の答弁は次の通りです。

 

 <緊急避妊薬を薬局で買えるように>

【松島みどり】 児童虐待による死者数は、厚生労働省の統計でわかる限りで、令和2年度の1年間に49人でした。年齢別に見ると、0歳児が32人、85%を占めています。トップです。その半数が、生後0か月で虐待というか、殺されています。

 この年にあった事件の一つが、公衆トイレで出産後すぐに、用意していたビニール袋にその子を入れて公園の植え込みに隠した、遺棄したという具合に、望まぬ出産、それも周囲に知られたくない出産がもとで、0歳児に対する、親による、「殺す」ということが起こっているのです。

 これまでの厚労省の18回の児童虐待についての調査で、毎回、同じような傾向が出ております。

 

 

 こうした出産をした中には、中学生以下の女子や高校生も含まれています。厚労省の調査では、令和3年度、出産には至らなかったにしても、人工中絶をした15歳以下の女の子が371件に上っております。もちろん、この数字以外にもあるかもしれません。

 

 そこで、緊急避妊薬を、ぜひ、薬局や薬剤師のいるドラッグストアで買えるように改めてほしいのです。現在は、医師の診察を受けて処方箋をもらわないと、この薬は手に入りません。

 緊急避妊薬、いわゆるアフターピルは、避妊に失敗、または避妊せずに性交を行った、その後72時間以内に飲むことによって妊娠を防ぐ飲み薬です。性暴力に遭ったときにも、真っ先に対応しなければならないものです。

 性暴力に遭ったり、暴力とまでは言えなくても、何となくセックスに応じてしまった、もし妊娠したらどうしようと頭が真っ白になった小中高校生にとって、産婦人科医院のハードルはあまりにも高過ぎます。

 また、医療行為については、未成年は親の同意を得なければいけませんから、一人でお医者さんに行っても処方してもらえません。性交後72時間が勝負だというのに、こういう状況があります。

 もし、家庭内性暴力、つまり、実の父親だとか、母の新しい夫、母の恋人といった人が加害者の場合、被害者には、「母親には言えない」という心理が働くのが常でありますので、いよいよ難しくなります。

 

 そうこうしているうちに、時間だけ過ぎていきます。妊娠検査薬はドラッグストアで手に入りますから、それを使って自分が妊娠していることが分かる、しかしどうしようもない。地獄の日々だと思います。

 

 そうした中で、家族あるいは保健の先生に話せる人間関係があれば人工中絶ということになり、それもできなければ、望まぬ出産、隠して出産ということになってしまいます。

 こういったことは極端な例かと思われるかもしれませんが、大人の女性でも似たような立場で苦しむことはあると思います。

 

 経口避妊薬は、既に90以上の国で、ドラッグストアや薬局で、処方箋なしで、薬剤師さんに相談するということで購入が可能になっています。G7諸国では、日本以外は全ての国でそのようになっております。

 

 本当に子供が欲しくなったときに産みやすい心身、心、体でいるためにも、妊娠中絶や望まぬ出産を減らすためにも、ましてや嬰児(えいじ)殺しをなくすためにも、厚生労働大臣、ぜひ解禁していただきたいと思います。このことは少子化対策にも関連することだと思います。よろしくお願いします。

【加藤勝信厚生労働大臣】 緊急避妊薬のスイッチOTC化について、いわゆる処方箋なしで薬局で買えるということについて、そのニーズも踏まえて厚労省の検討会議で御議論をいただき、薬剤そのものの有効性、安全性に加えて、薬局等における適正販売、また適正使用が確保されるか等、様々な視点から議論をいただきました。

 

 その議論を踏まえて、昨年末から1月末までの間に、スイッチOTC化した場合の課題と対応策についてパブリックコメントを実施いたしました。パブコメを通じて、スイッチOTC化をした場合の販売体制や性教育の必要性など、様々な御意見を頂戴をいたしました。

 そうしたことでお示しいただいた課題、また対応策を整理した上で、3月末頃を目途に、検討会で改めて議論をしていただきたいと考えております。

【松島みどり】 わかりました。ぜひ急いでいただきたい。

 そして、その中に出ました性教育ということについては、それも危惧はあるだろうと思いまして、先ほど文科大臣に、学校現場と産婦人科医、助産師さんがいろいろな協力をして、妊娠や性に関することの指導もしてほしいと申し述べた次第でございます。