「相続したけれど、不要な土地を国に引き取ってもらう」制度(相続土地国庫帰属法)が今年4月27日から始まります。

「建物などが建ってない」「土壌汚染や埋設物がない」などの条件があります。山林の立木は問題ありません。

 土地のタイプごとに10年分の土地管理費を「負担金」として納付する必要があります。

https://www.moj.go.jp/MINJI/minji05_00454.html

 手続きの窓口は法務省の法務局(東京の場合、九段下にある東京法務局本局だけ)で、2月下旬以降、事前相談を受け付けます。相談したい土地の登記事項証明書、現地の写真、地図などを持参すると相談が円滑に進みます。

 10年分の負担金は、基本的に20万円ですが、土地のタイプにより一部異なり、森林は、1500㎡が約27万円、3000㎡が約30万円。市街化区域の宅地や田畑は、近隣に迷惑をかけないよう、管理の手間がかかるので、宅地は100㎡が約55万円、200㎡が約80万円、田畑は500㎡が約72万円、1000㎡が約110万円と高くなります。これら以外の荒れ地は面積にかかわらず20万円です。

 法務局が申請を受け付けた後、法務局の担当者が土地の実地調査をして、「国が引き取るかどうか、負担金をいくらにするか」決めるのに半年ほどかかる見込みだといいます。

 なお、申請書類の作成代行業は司法書士、行政書士、弁護士だけが認められています。

 所有者不明土地の発生を予防するとともに、国が介在して、次の「利用したい人」にバトンタッチするのがこの制度のねらいです。

 

 来年4月には、相続した不動産の登記の義務化(これまでに相続した不動産も義務化の対象)が始まります。

 国に引き取ってもらいたい土地が相続登記をしていない場合、登記をしてから、国に引き取ってもらうと登録免許税がかかってしまうので、土地の所有者であることがわかる資料を提出できれば、相続登記をする前に引き取ってもらう申請をすることも可能だと法務省は説明しています。

 

 私がこの問題に関心を持ち、制度創設に尽力したきっかけは、地元墨田区の女性から「亡くなった夫から、見たこともない東北の山林を相続した。土砂崩れなどが起きて人に危害を与えたら、損害賠償の請求をされるかもしれない」と悩みを打ち明けられたのがきっかけでした。

 同窓会で、この話をしたところ、「親から山林を譲られた」「地方に広い土地と江戸時代からの蔵を相続する予定」と嘆く友人が続出しました。

(もっとも蔵は自分で壊しておかなければ、国庫帰属の対象とはなりません。)

 この制度は、こうした悩みを解決する一つの選択肢になりますので、関心のある方は法務局に相談してみてください。