墨田区が開催した「鐘ヶ淵駅周辺地区まちづくりパネル展」を視察し、区の担当者から丁寧な説明を受けました。(21日、梅若小で)

 東武スカイツリーラインの鐘ヶ淵駅には、典型的な「開かずの踏切」があり、お年寄りやベビーカーを押す人たちが危険な状態に置かれてきました。ただ、高架化する際には、一部の住宅の移転が必要となることなどから、長年、手がつけられずにきました。

 

 しかし、近年、地元町会、自治会が「踏切解消」を求める要望書を、3度にわたり東京都に提出するなどの活動が実り、都は昨年9月、鐘ヶ淵駅付近を鉄道立体化の「事業候補区間」に位置付けることを表明しました。

 

 鐘ヶ淵駅の立体化に向けた取り組みが、やっとスタートラインに立ったわけです。

 この踏切が置かれている鐘ヶ淵通りが、拡幅を機に「都道」となるため、踏切解消は都が実施主体となり、今後、都の調査を経て、「連続立体交差事業がふさわしい」という結論が出れば、国が採択を決めます。私も支援してまいります。

 鐘ヶ淵駅のホームはカーブがきつく、現在の軌道では「安全ではない」ため、駅の前後のルートも変更することになります。

「連続立体交差事業」とは、単に踏切を廃止し、線路を高架化するだけではなく、踏切によって分断されていた地域の往来を便利にしたり、木造密集住宅地の防災力を向上させたりする「まちづくり」と一緒に行う事業です。

区が対象とする「鐘ヶ淵駅周辺地区」は、墨田2丁目から5丁目までの全域と、墨田1丁目および東向島5丁目の一部です。

 

 

 区は「まちづくり」の中で、新たな区道を2本つくる計画です。それにより、小学校の通学路が短くなったり、買い物に出かけるのに大回りしなくて済むようになります。

 鐘ヶ淵駅周辺地区は、都の「地震に関する地域危険度測定調査」で常に上位に挙げられ、総合的な危険度は最大の「5」と判定されています。

 木造住宅が密集しているうえに、道幅が狭くて緊急車両が通れないため、140mの消防ホースが届かず、消防活動が困難な箇所も多くあります。避難場所も不足しており、防災に関する課題を多く抱えています。区道2本の新設を含めた「まちづくり」で、これらの解消も目指しています。

 

 私は、墨田区で同様に「開かずの踏切」だった、押上大踏切(とうきょうスカイツリー駅の近く)の解消に取り組んできました。東武鉄道の敷地内であるため、用地買収の必要がなく、都が事業化した後は、都市計画の決定から工事着手まで迅速に進み、東武スカイツリーライン上り線(浅草方面)が昨年11月末に高架化し、2025年3月末までに全体の高架化が完了する見込みです。

 

 これに対し、鐘ヶ淵駅の踏切解消は、まちづくりの計画作成や、駅周辺の鉄道ルート変更を決めるに際し、土地提供による転居も含め、多くの人たちに影響が出ることから、工事着手まで、まだ長い年月がかかると考えられます。

 しかし、危険な踏切の解消と同時に、周辺地区の防災面での安全性向上は重要課題であり、私も、住民の皆さんの合意を前提に、後押しをしていきたいと考えています。