荒川第一調節池(埼玉県戸田市、さいたま市)と、建設中の荒川第二・第三調節池(さいたま市、上尾市)を視察しました。 

 私の地元墨田区と、葛飾区の間を流れる荒川は、埼玉県の秩父に端を発し、東京湾に注ぎます。上流域では歴史的に幾度となく水害を発生してきました。 
 墨田区に関していえば、私が政治活動を始めた27年前以降、水害は皆無ですが、荒川第一調節池が水害の抑制に役立っています。さらなる安心のため、より上流の第二・第三調節池の建設が進められています。 

 東京外環自動車道・幸魂(さきたま)大橋の脇にある見学施設から見下ろす、広大な水面。さすが荒川・・・と思ったら、これは「彩湖」。荒川第一調節池の中にある、貯水池です。 

 

 荒川の川幅は、この付近で1500mにもなります(最大は埼玉県鴻巣市と吉見町に囲まれる地点で、2537m)。端から端まで見渡すのは困難です。 
 ただし、それはいちばん外側の堤防の間の距離の話。ふだん水が流れている幅は、このあたりでは、100mから150mにすぎません。それ以外の広大な「河川敷」は、樹林地、草地、水田、公園になっています。 

 台風や大雨で荒川の水位が上がると、河川敷が水を受け入れ、洪水を防ぎますが、その効果は十分ではありませんでした。 
 というのも、荒川の水位が少し上がっただけでも、河川敷に水がそのまま入っていくので、荒川の水位が危険な高さになったころには、残りの「貯水能力」がなくなってしまうからです。 
 そこで、ふだん、実際に水が流れている川の部分と河川敷を仕切るために、間にもう一本、堤を作ったのが「荒川第一調節池」の建設です。この新たな堤「囲繞堤(いぎょうてい)」により、荒川の水位が少し上がった程度では、河川敷に水があふれるようなことはなくなりました。 

 水位が一定以上(水位の基準高さ+8.70m)になってはじめて、囲繞堤に設けられた切り込みのような「越流堤(えつりゅうてい)」から、広大な河川敷に水が入り、そこで水を受け止めてくれるので、外側の堤防が崩れるようなことはなく、周囲の町及び、下流域を守ります。 

囲繞堤、アスファルトの部分が越流堤

越流堤から水が入る様子(右から左へ)


 令和元年10月台風では、容量の9割となる3500万㎥の水を貯留しました(写真①。写真②はふだんの様子)。退避警報を鳴らすスピーカーの直下まで水位が上がりました(写真③)。第一調節池は2004年(平成16年)に完成し、川の流れに沿って8km余り、580haに3900万㎥の水をためられます。 

 

写真① 令和元年台風の時の、荒川と第一調節池

写真② ふだんの荒川と第一調節池。河川敷が公園などになっている

写真③ 令和元年台風の時の水位(白線)。上部は警報を鳴らすスピーカー


 第二調節池は、第一調節池に隣接する上流に工事中です。下流から順に、新たな堤(囲繞堤)を作っており、最下流部では地盤改良工事が終わり、これから盛り土(堤の建設)をしていくところです。 
 第三調節池は第二調節池のさらに上流に隣接して作られます。第二が760ha、3800万㎥、第三が300ha、1300万㎥です。令和12年度、完成予定。 

 国交省では建設業界の人手不足に対応するために、DX(デジタル トランスフォーメーション)を推進しており、ドローンからの写真で詳細な3D地形図を作り、そこに構造物を乗せるシミュレーションをし、工事業者との情報伝達に活用しています。 
 地盤改良工事では、コンピューターに工程を入力すると、穴を掘りながら土と薬剤を混ぜる作業を、ロボットがやってくれます。ショベルカーやブルドーザーも、自動で動きます。 

 私もドローンの操作を教わり、前後、左右と操縦を試みました。ラジコン歴もないし、不器用なので心配でしたが、順調にいき、無事着地したときは「やった!」とうれしくなりました。(法令に触れないよう、ドローンは地面とリールで繋いでいます) 



 上流でのこのような治水工事が、下流域に住む私たち都民の防災・安全につながっているのです。 

 

 

第一調節池全体