海上保安庁は今年、無人航空機を初めて導入し、洋上の監視体制を強化します。

 

 従来の有人機による監視では、パイロットの負担を考慮し、最大8時間で一度帰還、機体の点検などを終えた後、交替のパイロットが搭乗するという運用上の制約がありました。

 無人機の場合は、地上で操縦する人を交替しながら、24時間以上、燃料が尽きるまで飛び続けられます。

 令和4年度は予算を約40億円計上し、外国企業からのリースで1機を運用、将来は、さらに増やす予定です。

 

 沖縄県尖閣諸島沖では連日、中国海警局(日本の海上保安庁に相当)の船が接続水域に入り、日本の領海内に昨年は40回侵入、今年も毎月、1~2回入っています。

 中国海警局は海上保安機関として世界最大級の勢力であり、1000トン級の船舶の数を2020年末時点で131隻まで増強しています。(海上保安庁は全国で同じクラスが69隻)

 

 また、中国は軍備拡大を加速させており、日本や韓国、グアムに展開する米軍よりも中国軍が優位となるのは時間の問題です。

 すでに2020年時点での西太平洋における米中の戦力は、米軍によると、近代的戦闘機で中国は1250機に対し、米軍は250機、戦闘艦艇は中国は60隻に対して米軍は12隻、潜水艦は中国56隻に、米軍が10隻と、数の上で劣勢となっています。

 

 現在のウクライナ情勢について、日経新聞が2月末に行った世論調査では、国際社会がロシアによるウクライナ侵攻や国境変更を止められない場合、中国による台湾への武力行使に波及するのを「懸念する」との回答が77%に上っています。

 

 日本の安全を守るため、南西海域における海上保安庁の監視能力のさらなる向上が必要であり、無人航空機の有用性が確認できたら、令和5年以降も増やすよう、予算獲得に努めます。

 ちなみに私は2007年~2008年に国土交通副大臣として海上保安庁を担当し、2007年末、尖閣諸島の上空から巡視船の乗組員らを激励した経験を持ち、同海域の海上保安庁の能力、守備体制の拡充を進めてきました。