自民党・伝統的工芸品産業振興議員連盟の総会が23日、開かれました。昨秋引退された伊吹文明元衆議院議長が会長を退任し、逢沢一郎衆議院議員が新しく会長になりました。これまで幹事長だった私は副会長に。伊吹会長は森喜朗元総理から会長を引き継ぎ、20年余り務めてこられました。

 



 伝統工芸品の多くの産地では職人不足、後継者不足に悩んでおり、「博多織技能開発養成学校」を設立した寺嶋貞夫代表理事の話が興味深かったです。
 以前はメーカーが「見習い」として若い人を抱え、職人を養成していましたが、メーカーにとって経済的な負担が大きいことが課題でした。16年前、寺嶋理事らが九州電力を初め地元企業に頼んで回り、市なども合わせて5千万円を集め、政府に「嘆願」し、学校設立にこぎつけたそうです。
 これまで79人が卒業し、半数以上が織物関係で働いています。今では、どこの博多織メーカーでも30から40代の職人が働いているそうです。若い職人たちは伝統的な着物、帯に留まらず、ネクタイやポーチ、名刺入れ、ペンケースなども続々と商品化していっています。

 伝統工芸品が海外での販売に力を入れている中、商標が海外(主に中国)で第三者に勝手に登録され、本場が使えなくなってしまう問題に悩んでいます。「有田焼」は中国で、第三者に登録された商標が失効しかけたために(登録した人が3年間使用しなかったことを根拠に)取り戻し、「美濃焼」は、現在日本の産地の製品が登録できない状況にあるそうです。今後、特許庁とジェトロが連携して解決や未然防止に努めるよう、私は元経済産業副大臣としての立場から提案しました。

 文化庁では「日本遺産」として、日本各地の文化・伝統を語る「ストーリー」を104個、認定していますが、その中には伝統工芸品が登場するものも多くあります。たとえば、「日本陶器のふるさと 肥前 ~百花繚乱のやきもの散歩~」(佐賀・長崎)には伊万里・有田焼、唐津焼(佐賀)、三川内焼、波佐見焼(長崎)が登場し、「きっと恋する六古窯―日本生まれ日本育ちのやきもと産地―」(岡山、福井、愛知、滋賀、兵庫)という広範囲にまたがったものもあります。
 「伝統工芸 青山スクエア」(港区赤坂)や、毎年、東武百貨店(池袋)で開催する「伝統的工芸品展WAZA」は、経済産業省と関係のある伝統的工芸品産業振興協会が運営しています。私は「関連する『日本遺産』もセットで掲示して、伝統工芸品の販売促進や観光振興に役立ててほしい」と要望しました。
 経産省は全国47都道府県で237品目を、法律に基づいて伝統工芸品として指定しています。東京都には18品目あり、そのうち14品目(東京染小紋、江戸木目込人形、東京銀器、東京手描友禅、江戸和竿、江戸指物、江戸からかみ、江戸切子、江戸節句人形、江戸木版画、江戸硝子、江戸べっ甲、東京アンチモニー工芸品、江戸押絵)が私の地元です。

 伝産協会では、伝統的工芸品を作っている過程を3分で伝えるYouTube動画を「TEWAZA」シリーズとして配信し、好評を博しています。視聴者の8割が外国人だそうで、コロナ後のインバウンド回復が楽しみです。