私が会長を務める自民党住宅土地・都市政策調査会の当面のテーマを「街が変わる。街を変える/住が変わる。住を変える」と定め、17日、第1回の会議を開きました。



 今回は、「住宅団地の再生」をテーマに、荒川区の空き家対策にも関わっている大月敏雄・東大大学院教授(建築学)と、昭和の高度成長期に造成した住宅団地(戸建て)の再生に取り組む大和ハウスの担当役員の話を聞きました。

 大月教授によると、子どもが巣立ったあとのお年寄りの2人暮らしでは、家の2階部分が余ってしまいます。外階段を作って直接2階に出入りできるようにすると、2階だけ賃貸に出せます。最初からこうした形で設け、建設しておくのもよい方法です。
 また、教授が宮城県気仙沼市で震災復興に関わった際の気づきとして、「いなかの若いお母さんには、ほっこりできる居場所がない」というのを聞き、ハッとさせられました。家の中では舅姑の目があり、家の外では地域の目があるというのです。そこで、古い家屋を改造して、お母さんが集う場所を作り、お茶したり、アロマオイルやハンドクリームを試したり、子育ての勉強会ができるほか、横になって休むスペースを設けた事例の紹介がありました。各地で役に立つアイデアだと思います。

 大和ハウスは過去に開発した横浜市のニュータウンで、コンビニを中心としたあらゆる世代が集えるコミュニティ拠点を作ったり、兵庫県三木市のニュータウンで、過去に売った住宅を買い取って、コミュニティ施設に改造し、提供しています。今年は全国6か所で取り組みをするそうです。70年代初めに分譲を開始した団地には、高齢化率が50%に達するものもあります。
 同社によると、数十年住んできた高齢者には「よその土地には移りたくない。しかし、今住んでいる区画はクリニックや商店まで遠い。坂道や段差にも苦労する。同じ団地で別の区画に移りたい」といった要望があります。高齢者が別の区画に移り、空いた区画に若い人が住む「住み継ぎ」が理想です。
 ニュータウンでは、引っ越してくる人の三分の一が、子育て世帯などUターン。親とは別に居を構えようとしても、ニュータウンはもともと分譲なので、賃貸物件が少ないのが問題です。高齢者に賃貸を促し、若い人が賃貸に住みながら、ある程度、お金を蓄えた時、近隣の中古住宅を買うことで、持ち主の若返りも図っていくということです。