マンションの電気室が地下にあると、浸水災害のおそれがある問題で、東京都は、国土交通省の通知に従い「電気室を地上(浸水リスクのない高さ以上)に設置した場合、容積率に不算入」とする特例を決めました。デベロッパーは部屋を減らさずに、安全を守れます。災害に強いマンションが増えることを願います。

 2019年10月の台風19号で、川崎市で多摩川の水が街中にあふれ、タワーマンションの地下にある電気室が浸水、エレベーターやトイレが長期間使用不能になりました。
 万一、荒川が氾濫した場合、墨田区のハザードマップによると、北部の鐘ケ淵駅あたりでは浸水深の想定が5~10m(2~3階の高さ)、荒川区では高層マンションが多い南千住の駅周辺で、3~5mです。
 氾濫の際に、エレベーターやトイレが長期間使用不能になるおそれから、私はかねて、「マンションやビルは電気室を地下ではなく高い位置に設けるよう、建築基準法を改正すべきだ」と主張してきました。法改正にはいたりませんでしたが、新築マンションについて、電気室を高いところに設置しやすい仕組みになりました。

 マンションに地下をつくると、地下は一定面積まで容積率に算入されずに済みます。そのため、デベロッパーは、売り物にならない電気室を地下に設置し、地上に目いっぱい部屋を作るのがこれまで一般的でした。
 国土交通省は建築基準法の特例を設け、「電気室を地上階(浸水リスクのない高さ以上)に設置した場合、容積率に不算入」としました。これにより、部屋を減らさずに、電気室を地上に設置することができます。
 通知を受けた東京都は、建築確認の際に、この基準特例を取り入れることにしました。