私は今回の選挙公約で「性暴力歴のある人は、子どもとかかわるすべての仕事に就けないようにする」ための法整備を掲げましたが、2023年度に新設される「こども家庭庁」がこの問題を所管することが決まりました。

 

 「こども政策の新たな推進体制に関する基本方針」(21日に閣議決定)に盛り込まれました。「方針」の原案では、この項目が不十分な内容だったため、私は党内の会議で再三発言し、修正が実現しました。

 閣議決定された方針には「教育・保育施設等やこどもが活動する場(放課後児童クラブ、学習塾、スポーツクラブ、部活動など)等において働く際に性犯罪歴等についての証明を求める仕組み(日本版DBS)の導入に向けた検討を進める」と明記されています。

 

 原案には、「教育・保育施設」しか書かれていなかったので、子どもたちが「先生」と呼ぶ職業(つまり、子どもたちにとって強い立場であったり、被害者が性暴力行為について、「これは悪いことではない。指導、愛情なのだ」と自分に思い込ませようとするおそれのある相手)を具体的に列挙したのです。

 

 DBSとは英国の内務省が所管する公共機関「Disclosure and Barring Service」の略称です。DBSは警察を通じて犯罪情報(前科情報)を収集しています。子どもに接する仕事に就いたり、特定の免許を取得する予定の者(求職者)に対し、採用者が無犯罪証明書の提出を求め、求職者はDBSが発行する証明書を提出する仕組みです。

英国ではDBSによる無犯罪証明書のない人が子どもに接する仕事につくことを禁止しています。

 

日本の場合、検察庁が、刑事事件で有罪になった人の情報(判決が確定した年月日、刑名、刑期など)を本籍地の市区町村に通知しており、行政官庁は「法令上の欠格事由に当たる前科の有無」を照会できることになっています。たとえば、医師、弁護士、教員、保育士などの国家資格や、里親などについて欠格事由が定められています。

ただ、刑法では「実刑の場合、刑期が終了してから10年たつと刑が消滅する」と定められており、本籍地の市区町村の犯罪者名簿からも消されます。したがって犯歴を照会できません。(執行猶予付き判決の場合は、執行猶予期間が満了した時点)

 

これは、たとえ殺人者であっても、元受刑者(または執行猶予付きの有罪の人)の人権を守り、更生、社会復帰を促進するためです。

一方、英国のDBSでは、前科が消滅しても犯歴情報を確認できることになっています。

 

 私は、一般的には、罪を償った人の人権を尊重し、社会復帰を促進することに賛成ですが、性犯罪、特に子どもに対する性犯罪は、いわば「病気」であり、別の取り扱いが必要だと考えます。

再犯率が高いこと、そして、子どもとかかわる仕事に就かなければ、再犯のおそれが減るのだから、二度と就けないような仕組みにすることは、その人の更生にも役立つはずです。

 

すでに、わいせつ教員については「教員による児童生徒への性暴力防止法」を、私も所属した「与党わいせつ教員根絶立法検討ワーキングチーム」がまとめ、今年5月に議員立法で成立させました。

保育士については、性犯罪で禁固刑以上の判決を受けた場合に、保育園で働けない期間を最長10年まで延長(現行は2年)する法改正を来年の通常国会で目指しています。