建設作業でアスベスト(石綿)を吸い込み、健康被害を受けた人たちに補償するための法律が9日、国会で成立しました。

  「個人事業主として仕事を請け負う『一人親方』も賠償の対象に含める」と決まったことが特にうれしいです。

 5月の最高裁の判決を受けての議員立法ですが、自民、公明両党のプロジェクトチームが、今年初めから、原告団とも相談しながら案を固めてきました。裁判に参加していない被害者にも給付金は支払われます。

 

  最高裁は「国は、屋内作業でマスク着用を義務付けるなど十分な規制をすべきだったのに、これを怠った」と判断しました。

  一般に「働く環境」を守ることについては労働安全衛生法が用いられ、この法律は「雇われている人」しか対象にしません。労働法制は元来、「使用者が、弱い立場にある労働者の権利を害さないようにする」という発想でできているからです。

  しかし今回の判決は「使用者が労働安全衛生法上、整えるべき労働環境」を国が示していなかった怠慢をとがめる形になったので、「労働者」ではない「一人親方」も対象になりました。

 

 私の地元には、個人または家族で営んでいる大工、とび、左官、塗装工の方々が多く、私はかねて、破産法その他の様々な法律改正の度に、「一人親方も、現場では立場の弱い働き手であり、企業に雇われる労働者と差別すべきではない」と主張してきました。

 アスベスト問題について、一人親方が所属する「東京土建」の方々からも「仲間の命の問題」と要請され、「力になる」とがんばってきたことが実現できました。