昨年4月以降、DVの相談件数が前年同期比約1.5倍のペースで増え続けています。
従来の配偶者暴力相談支援センターに加え、昨年4月に新設した、「DV相談+(プラス)」(0120-279-889(つなぐ−はやく))への相談が、増加分のほとんどを占めています。(1)通話料がかからない(2)SNS(チャット)やメールで相談できる(3)24時間365日体制が利点で、特に、20代、30代の若い年代層や、「初めて相談する」女性が多いということです。
また、英語、中国語、韓国語、スペイン語、ポルトガル語、タガログ語、タイ語、ベトナム語、ネパール語、インドネシア語の10言語にも通訳を介さず母語でSNSの相談対応をします。
配偶者、元配偶者、同棲相手等からの暴力が対象で、昨年5月は1万7575件
(前年同月比1.58倍)、6月は1万8007件(同1.66倍)、7月16753件(同1.38倍)の相談が寄せられています。
「DV相談+」では、相談を受けると、内容に応じて都道府県の婦人相談所や、民間シェルターや警察署につないだり、同行する支援も行っています。また、緊急対応として、ビジネスホテルの宿泊を提供することもあります。子どもも一緒に保護をする場合もあり、その時は、児童相談所とも連携して対応します。
「DV相談+」は、経験のある相談員が対応し、SNS対応の場合は、状況に応じて文章を入力する補助員がつくなど相談体制も整えています。
コロナ禍でなぜDVは増えているのか。
DVのうち、傷害、暴行とも約9割が「女性が被害者」で、夫が妻に暴力を振るうケースを挙げると、「ステイホーム」で家にいて、顔を合わせる時間が増えたことで、それまで潜在的に思っていたことを、「料理がまずい」「学歴が低いからやっぱりバカだ」などというふうに口に出して、精神的にいじめたり、実際に暴力を振るったりするケースや、また、「仕事がなくなるのではないか」という将来への生活不安からイライラが募り、ちょっとしたきっかけで爆発することも多くあるといいます。
調査ができた「子どもを持つDV被害者」約3万7000人のうち、2万2337人が「子どもも虐待あり」と回答。そのうち、9909人は、子ども自身も暴力を振るわれています。残りは面前DV(子どもの前で夫婦間で暴力を振るい、子どもの心を傷つけること)です。
地裁に申し立てて、保護命令が発令されると、警察と配偶者暴力相談支援センターに通知され、加害行為をした配偶者等は、相手に接近を禁じられ、また、必要に応じて、同居している家から退去を命じられます。保護命令違反に対する罰則は、100万円以下の罰金または、1年以下の懲役となります。
例えば、夫から妻に暴力が振るわれた場合、夫から身を隠したあと、離婚しても自活できるよう、自立支援のための職業指導や、就職相談にも乗ってくれますが、コロナ禍の今、新しい仕事を見つけることは一層困難になっていることも悩みです。また、シェルターが満員で入れないということもあります。
公的機関は、夫からの連絡を絶つため、携帯電話を預けさせますが、それでは就職や仕事にも差し支えるので、若い女性の場合は躊躇し、民間シェルターを選ぶこともあります。