12日は午前中に、家庭教師に行って小学校2年生に算数を教えた。
「100センチメートルは1メートルで、1メートルは100センチメートルだよ。」
その長さが、わからないようだったので、1メートルが測れる道具はないか、お母さんに聞いてみた。そしたら、巻き尺を持ってきてくれた。
「これが10センチメートル。で、これが20センチメートル。」どんどん伸ばして、「これが100センチメートル。で、この長さを1メートルっていうんだよ。」
+++
巻き尺を操っていたら、その昔、本格的なコンベックスを仕事で使っていたことを思い出した。
「ところで、どうでもいい話だけど、巻き尺の先端のツメって、どれも、ぐらぐらしているけど、これはわざとなんだよ。ひっかけて測った時と、押し付けて測った時が同じ長さになるように、わざとこういう仕組みにしているんだよ。」
理解できないだろうとは思いつつ話していたら、隣で話を聞いていたお母さんが食いついてきた。
「ぐらぐらしていないと、どうして、違う長さになっちゃうんですか。」
「ツメの厚さの差が出るから。」
「そんなわずかな差。」
確かに。言われてみれば、わずかな差だよなあ。そのことに気づいてなかった。
+++
帰る間際に、2メートル80センチメートル+20センチメートルの問題を解かせた。彼の答えは2メートル100センチだという。
「まあね。それでもいいけど。もうちょっとおしゃれにした方がいいかな?間違ってはないけどね。100センチメートルって、他の言い方があったよね。」
最後に3メートルって答えが出たので、すっごく褒めて帰ってきた。でもまあ、俺としては2メートル100センチメートルで正解だ。間違ってないから、どうだっていい。
+++
で、その日の午後、長野の実家に帰った。
帰省ラッシュで道路が激混み、という予想をしていたのだが、台風直後だったからなのか、意外と道路はスムーズに流れていた。道路工事も中断しているようで、むしろいつもより早く実家についた。
+++
その日の夜、姉夫婦の家に呼ばれて夕食を食べた。姪も帰ってきていた。
「どうして無職なの?生活はどうしているの?」
めんどくさい質問に、適当に答える。
「今年の12月か来年の1月くらいに就職を目指す。」
俺が言うと、姪が「甘いなあ。」と言う。うっせいな。
どことなくどんよりとした空気のなかでの食事だった。
僕は義理の兄と久しぶりにビールを飲んだが、姪はビールも飲まなかった。
+++
姪と義理の兄は、前日に相当に飲んだらしい。近所の家のBBQにいって、義理の兄は夕方の5時には完全に酔っぱらい「街まで飲みに行く。」というのを姉がむりやり引きずって帰ってきたらしい。
姪もその時間までには、相当量を飲んでいたにも関わらず、そこから飲みに行って帰ってきたのが午前2時だという。
+++
「昨日、帰ってきた後、夢のなかでも酔っぱらっていて、吐かないコンテストをしていた。で、私は吐かずに目を覚まして、そして、現実の世界で、トイレで吐いた。」
姪から、そんな世界一くだらない夢の話を聞かされる。
+++
「君はよく飲みに行くの?」
「週6。」
「週6も?飲むお金はどうするんだよ。」
「半分は無料。女だから。でも、最近、どうしてこんなに飲み会ばっかりしてるんだろうっていう飲み会鬱になっている。1か月先まで予定はいっぱい。私と飲みたかったら、2か月先じゃないと空きがない。」
「世界一、くだらない理由の鬱だな。」
ほとんどお酒を飲まなくなった俺には、彼女の生活が荒んで見えた。
+++
「運動はしてるの?」
「ジムとゴルフ。ジムは週2で朝、行ってる。ゴルフに行ったときは、朝からずっと飲んでる。」
「ふーん。」
あまり得ることの少ない飲み会だった。ビールと日本酒を飲んだが、酔っぱらうほどではなかった。飲んでいない姉に実家まで車で送ってもらった。
+++
そして翌朝7時から、お寺からお坊さんが「棚経」をあげに来てくれることになっていた。
だから6時には起きて、ワイシャツとズボンにはき替えて、仏壇のろうそくに火を灯したり、木魚を用意したりする。
「これで、準備は完璧。」そう思っていたが、まさかお坊さんが息子を連れて2人で来るとは思っていなかった。
「1人分の座布団しかない。」俺が言うと「いいです。」と言って、息子さんは畳に座って、2人の棚経が始まった。
俺も畳に正座した。正座するなんて何年ぶりだろう。できるのか不安だったが、ちゃんと座ることができた。
5分くらいで棚経は終わった。
「今はどこで何の仕事をされているのですか。」とお坊さんに聞かれる。
「名古屋の方で、自営業を。」と言いかけたら、「別のお仕事をされているんですね。」というので、「はい。」と言っておいた。
本当は「名古屋の方で、自営業をしていましたが、やめました。今は無職です。」と言いたかったんだけど、遮られちゃったから仕方がない。
+++
朝の涼しいうちに、実家の西側の線路に面している壁を見に行った。姉が「あの壁に、ツタが伸びている。」という。
体中に虫よけスプレーをかけた後、線路の上を歩いていき、壁を見る。田舎の電車はめったに来ないから、線路の上も普通に歩ける。
俺の家の壁を見ると、ツタが、みずみずしい緑の葉を輝かせて壁に広がっている。
「めんどくさいなあ。」
ツタの根元を切って、引きはがす。壁の塗装も一緒に剥げてしまうが、仕方がない。全部引きはがした後、地面に除草剤を大量にまいた。ツタは強いので、おまじない程度の効果しかないとは思うけれど、何もしないよりはましだ。
全部終わった後、遠くで遮断機の音が聞こえてきた。急いで線路の上を走って、実家に帰ってきた。
+++
そして、13日のうちにまた名古屋まで帰ってきた。帰りは、帰省ラッシュと方向が反対で、工事もしていなかったので、実にスムーズだった。こんなに速く帰ってこられたのは初めてだと思うほどだった。
+++
で、名古屋に帰ってきたんだけど、いろいろと勉強しなければならないことがあるのに、何もする気がわかない。無職の俺には関係ないのに「夏休みだから仕方がない。」と思っているところだ。いつまで続くのかなあ?俺の夏休みは。
+++
アクション映画が見たくて「ハート・オブ・ストーン」を見た。
主人公は平和を目的とした高度なスパイ組織に所属しているレイチェル。コード名は「ハートの9」。彼女の所属する部門の名は「ハート」、仲間を「ハートの6」とか「ハートのキング」などと呼び合う。でも彼女はそれを秘密にして、M16にも所属している。
そしてあらゆるシステムをハッキングできるという、超賢い量子コンピューターの名前が「ハート」。この量子コンピューターを、スパイ組織が取り合う。
「ハート」がつく固有名詞が多すぎで、とても混乱する。なぜ何もかもにハートって名前を付けるのかが理解ができない。まずは、その賢いという設定の量子コンピューターに合理的なスパイ名を考えてもらえ、と思った。
ネーミングには混乱させられたが、それ以外はなかなかいいアクション映画で面白かった。
ただ、1930年代じゃあるまいし、今の飛行船が水素で浮いているわけがない。静電気で発火するような塗料も使用してはいないだろう。飛行船内で戦っているときにピストルを取り出した仲間に「火花一つで爆発する!」って制止していて、あほなスパイたちだな、と思った。

