週末に実家に帰った。財布をなくした後、銀行のキャッシュカードだけは、住民票のある実家にしか届けることはできないと言われたからだ。それで実家に取りに行くことになった。

 

田舎道をちょっとばかしスピードを出して突っ走っていたら、リードをつけたままのビーグル犬が俺の車の正面に向かって走ってきた。俺は急ブレーキをかけて止まったが、体中から冷や汗がどっと出た。頭のなかで、バイクレーサーのロッシが「止まった。よかった。ブリジストンはすごい。」と言った。

 

周りに人影も車もなく、このビーグル犬はいったいどこから来たのだろう?俺の車が止まると、ビーグル犬はすごく嬉しそうに俺の顔を見た。そして、車の横の方向に移動したので、俺はすぐにアクセルを踏んで車を走らせた。

 

犬はしばらく、俺の車の後を追いかけていたが、対向車に気がつくと、今度はその車めがけて走り出していた。あんなことを繰り返していたら、いつか事故に遭うだろうと思ったが、特に何もしなかった。

 

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実家には、留守のうちに銀行のクレジットカードが届いていたようだった。郵便局に電話をして、再配達の手配をした。その時間まで、俺は部屋でじっとしていた。勉強道具も置いてきたので、何もすることがなかった。実家にもテレビはない。こういう何もすることがない時間を迎えるのも随分と久しぶりだ。

 

昔は、そんな時間がいっぱいあったように思う。久しぶりに味わう感覚だった。

 

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土曜日の夜に、また上田市まで戻ってきた。一般道で大型車を抜くときに、そこがカーブだったので、遠心力で車が飛ばされそうになって、また冷や汗がどっと出た。

 

こんな運転をしていたら、俺もそう遠くないうちに事故るぞ、と何度も自分に言った。

 

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ところで、俺の車はもう10年以上も乗っていて、走行距離も15万キロくらいに達している。もうあちこちガタがきているので、試していないけれど、安定走行ができるのは時速130キロくらいが限界だ。でも、スピーカーが9つもついていて、パドルシフトがある。なかなか捨てがたい。

 

ここにきて塗装が剥げだし、ボンネットやバンパーなどまだらになっている。それで修理工場に持っていった。技術屋さんが来てくれた。

 

「これねえ、もう老化だからね。30万円くらいはかかるよ。紫外線でやられちゃうんだ。長野県は高地にあるから、劣化時には紫外線で一気にやられちゃう。30万は高いと思うかもしれないけれど、まず塗装を全部剥がして、それからまた塗るからね。」

「確かに。9月の車検の時にはこんなにひどくなかった。ところで修理にはどのくらい時間がかかる?」

「普通なら2週間くらいかなあ。見た目をよくするなんて仕事はどうしたって後回しになっちゃうからね。ただ時期が悪いよ。このあたりは今、事故だらけで、普通の仕事でも終わらない。塗装なんて仕事は、3月か4月になってからだね。それにどうせ今、塗装したって、雪下ろしのときにキズがついちゃうよ。」

「なんで事故が多いの?雪も降ってないし、まだ凍ってもいないよね。」

「働き方改革のせいだと思うよ。いっせいに休みになって、車が増えたんだよ。遠出をして事故ったり、駐車場で車をぶつけたり。」

「なるほどなあ。じゃあ、また春先に来るよ。」

 

それで俺の車は、随分と痛々しい姿のままだ。

 

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今週は外に飲みに行くことはしなかった。財布をなくしてから、少しお金を注意して使うことにした。まあ、それでも無駄遣いはしちゃうんだけどさあ。

 

外飲みはやめて、家で飲むことにした。西友のウイスキー売り場に行ったら、ジョニー・ウォーカーが2000円もしない金額で売られていたので驚いた。随分と安くなったものだ。

 

俺はバランタインのバレル・スムースを買ったが、やはり2000円もしなかった。

 

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アメリカのテレビドラマ「バンシー」のシーズン3を見終わった。

 

保安官として、警察と敵対する原住民のボスを殺したあと、泥棒として海軍基地から大金を強奪する。

 

その攻防がすさまじく、こういうドラマを見ていると、俺もこういうドラマを作る側に回りたかったよなあとため息が出る。